・おまけ�� ページ17
「あ〜ぁ、リハとかあんなら、歌うなんて言わんかったら良かった〜」
せっかくの文化祭なのに、お互いのクラスの模擬店や出し物の都合で、一緒に過ごせるのは30分ほど
「最初で最後なんに〜」
隣でブツブツ言ってる すばるくん
「でも、ステージ立つの、楽しみなんでしょ？」
「そら、まぁ……」
ソワソワしてるのは その表れで、身体中が早く歌いたいって言ってるみたい
「じゃあな」
「うん。頑張って」
会場である体育館。椅子に座り、その時を待つ
周りの女子達のお目当ては、やっぱり2年生の4人で、すばるくんの名前なんて いっこも出てこない
安心と不安…
そんな気持ち抱えていると、ステージに姿を現した5人
大きな歓声と少しの騒めき
“あれ 誰？”
“3年生じゃなかった？見た事ある気 する”
そんなざわつき、気にせずジッと目をつぶり、マイクを持ち微動だにしない
ギターの音が鳴り見開いた目は、いつものそれとは全く違ってて
すばるくん、本気なんだ……って思った
その声が体育館中に響けば、そこにいた全ての人が息をのんだ
1曲目が終わると、一瞬の沈黙の後、さっきの騒めきは歓声に変わって
錦戸くんが
「3年C組 渋谷 すばるっ！」
と紹介すれば、その歓声は、今日一番大きなものとなった
その中には“渋谷くん” “すばるくん”って、女の子の声もあって
『すばるくん』って呼んでたの、私だけ だったのに……
曲が進むにつれて、大きくなっていく、声援と歓声
それはまるで地響きのよう
私より、少し上のステージに立ってるだけなのに、とっても遠くに感じられて
すばるくんが、どっかに行っちゃう……
そんな錯覚に陥った
「どうも ありがとうございました〜」
5人の姿がステージからなくなると、我先にと出口に向かう人々
その波に乗り遅れて、最後の方に外に出れば、5つの人溜まり
一際大きな輪の中心に、すばるくんの顔が見え隠れしてる
でも、そこに近付けない私は屋上に逃げ込んだ
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作者名：ちか
| 作成日時：2018年9月22日 0時
