【QK】砂糖漬けの超難問！

・犬だよ！ ページ16

私には、渡辺航平という彼氏がいる。
私の誕生日には、馬鹿みたいにでかい花束を持って押しかけてくる。
クラッカーを鳴らして盛大に祝う。

彼の事が大好きで、大好きで仕方ないのに、口から出るのは屁理屈ばっかり。
だめだなぁ、私、愛想つかされちゃう。

そういって猫の形のクッションに頭をねじ込む。
こうへいとは同棲してて、これも彼と喧嘩して、最終的に彼が折れて、猫の形のクッションになった。彼は犬型がいいって言ってた。


「A？..あのさ」

何気なくテレビを見てるときに、もじもじしてる彼が言う。

「俺、少しだけここを離れることになった。」

「え...？」

なんで、と訊こうとしたが、天邪鬼が出てしまって、

「わかった。」
とだけ言ってしまった。もっと、気を付けて、とか頑張って、とか可愛いことが言えない自分が嫌い。

うん、とだけ航平は言って、三日後には出ていくそうだ。

そのあとの三日間は、お互い忙しくて、何も話せず。こうへいは出て行ってしまった。

「....いってらっしゃい」
そう呟いてみたけど、こうへいはもういなかった。

こうへいがいない家は、寂しい。

二人で住もうって決めた少し狭い部屋も、広く感じる。

なにしてるの、まで打ったメールを、削除する。

「こうへいがいないと、淋しい。」

ふとテレビの横に、初デートのディズニーに行ってペアで買ったぬいぐるみの横に、こうへいがくれたペアリングが置いてある。
航平のだった。

愛想をつかされたのだ。

素直になりなさい、と母親に叱られたことがある。物心ついた頃には、楽しいのに、楽しくない、とか言って、場の空気が悪くなったこともしばしば。初めてできた彼氏には、お前といても面白くない。と言われて振られた。
そんな私を好きって言ってくれたのが航平。なのに、私は＿＿いつまで経っても成長できない。





「こうへいと別れたくないよ。大好きなのに。」



今更、素直になってもこうへいはいない。


また、犬派か猫派か、言いあいたい。

こうへいがいない部屋は、寒い。

・死ぬまで喧嘩しよう！（end)→←猫が絶対かわいいよ。ko-chan

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す