Junior high school sgi ページ5
一瞬で、恋に落ちた。
私は地味な図書委員で、昼休み図書室が解放されるので、貸出登当番として顔を出さねばならなかった。
「ぎゃははは！やっべ〜！」
静かな空間を一気に破壊する上級生。中学三年生は私より幾らも身長も違って、怖い。
「し！しずかにせんと！」
いわゆる陽キャ、の中でそれを制したのは他よりも身長が高く、ガタイがいい先輩。
「ここに来てなんも借ひんのはアレやし」
そういって彼は一冊の本を借りた。夏目漱石だ。
その時の私はたいそう顔が赤くて、夏の生ぬるい風も相まって目も合わせられなかった。
何度か背の高い先輩は本を借りにきて、体育祭の練習日になった。
「あ」
「お〜！図書委員の子やん！」
にかっと笑った先輩と目が合う。肩までめくられた体操服には、須貝、と書いてあった。
須貝先輩。
学年が縦割りされて、体育祭の競技練習が始まり、交流の場が増えた先輩と私は、連絡先を交換する仲にまでなった。
先輩も好きになってくれたらいいのに、私の事。
そんな傲慢な気持ちを隠して、メールを続ける。最初はポンポンと返ってきた返事が、一日、二日...長い日には、一週間返ってこなかった。
図書室に来る頻度も少なくなった。
「須貝先輩と寺島先輩、付き合ってんねんて！」
なんて話が野球部の男子から聞こえてきた。
寺島先輩と言えば、同じ野球部の女の人だったはず。
美術室のバルコニー..とそんな洒落たものではないが、そこから須貝先輩を見つける。
寺島先輩とふざけあっている姿を見ているうちに、胸が焼けるみたいになって。
同じ土俵にも立っていない自分と、仲が良くて、面白い寺島先輩。
どちらを選ぶかは、明白だった。
須貝先輩が何かで表彰されても、一緒に喜べるのは、私じゃない。
須貝先輩と一緒に笑えるのは、私じゃない。
手をつないで帰れるのは、私じゃない。
お似合いだねって言われる相手は、私じゃない。
最初は疑っていた寺島先輩との関係も、ようやく飲み込めるようになったのに。
『先輩、好きです』
なんてメールを送って。
どうやら私は気持ちを隠しきれなかったらしい。
どう捉えてくれたって構わない。
先輩が、困ることなんて目に見えていた。先輩は優しいから。
彼女との関係を応援できるほどいい子じゃないんです。ごめんなさい。
心の中で、どこか彼女との関係が終わってほしい、なんて考える私は最低だ。
※京都出身ということで関西弁にしております。
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てら(プロフ) - みるくれもんさん» ありがとうございます！そうです！某髭の彼らです〜。音楽を聴いたとき、絶対こうちゃんに合うなーとおもって書きました！ (2020年3月14日 17時) (
レス) id: 44b95f4836 (このIDを非表示/違反報告)
てら(プロフ) - みけさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです〜！ (2020年3月14日 17時) (レス) id: 44b95f4836 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれもん - はじめまして！いつも読ませて頂いてます、大好きです！！！こうちゃんのやつ、もしや髭男の曲ですか！？素敵ですよね(^^)これからも頑張ってください、体調にはお気をつけて！！ (2020年3月13日 21時) (レス) id: 1ef1ccf766 (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 第1話から心臓を撃ち抜かれました...ありがとうございます...！！とても大好きです (2020年3月10日 23時) (レス) id: 5abc98e162 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てら | 作成日時：2020年3月10日 21時
