素直になりなさい･･･side Kazu ページ49
｢あと5分で着きます｣
ユウからのメールを確認してから
携帯をポケットにしまった。
やっとAちゃんに会える！！
出禁になって数週間･･･
俺はヤキモキしながら過ごしてきた。
Aちゃんと仕事をしてきたJには
しばらくの間会うなと釘をさされた。
いま乗り越えようとしている事があるからと。
｢アイツが乗り越える事って？潤！教えろ！｣
納得のいかない翔さんはJに食い付いていたけど
Jはそれ以上は教えてくれなかった。
今までずっと考えていた。
俺に何が出来るのかって。
できる限り側にいたい。
辛いことも苦しいことも
俺の全部で受け止めたい。
だからお願い、もう少し俺を頼ってほしいんだ。
道路を挟んで向かい側に
一台のワゴン車が止まった。
運転席にはユウの姿が見えて
窓が開くと俺に向かって手を振る。
そして車が走り去ると
そこには大きな荷物を抱えたAちゃんがいた。
｢おーい、Aちゃーん！｣
思い切り叫んだら俺に気付いたみたいだ。
｢え･･･？マジ！？｣
次の瞬間、まるで俺から逃げるみたいに
Aちゃんが走り出した。
当然、反射的に追いかける。
意外にも足が早くてなかなか追いつけなくて
もはや体力は限界･･･
｢クッソ･･･負けるか｣
こんなに全力で走ったのはいつぶりだよ。
目の前の信号が青に変わり
横断歩道を駆け抜けて、
やっとAちゃんに追いついた。
｢ま･･･ま･･･って･･･はぁはぁ｣
Aちゃんの腕を掴んだけど
思うように喋れない。
｢はっ･･･な･･･んっ･･･はぁ･･･して｣
Aちゃんも同じ様に息が上がっていた。
｢どうして逃げるの？｣
｢追いかけるからでしょ｣
｢何？何で？｣
｢･･･和ちゃんに会いたくなかったから｣
｢どうして？俺は会いたかったよ？
ずっとAちゃんに会いたかった｣
｢･･･｣
黙って俯いたまま、道路に座り込んでしまった。
｢ガマンしてたのに･･･｣
｢え？｣
｢何度も連絡しようとしてやめて･･･｣
｢え？｣
｢だって絶対止まらなくなるから･･･｣
｢フフッ･･･素直になりなさいよ｣
｢･･･バカ｣
｢え？｣
｢和ちゃんのバカっ！！｣
｢バ、バカって･･･俺？｣
いきなりバカって何だよ笑
真っ赤な顔してふくれっ面してさ。
｢疲れた！もお歩けない！おんぶして！｣
そうやってワガママを言うAちゃんが
愛おしくて堪らない。
この俺を｢バカ｣って言える女の子は
世界中探してもあなただけですよ笑
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
