奇跡なんて起きない･･･side Jun ページ47
｢じゅ･･･ん。私、決めたの｣
｢決めたって何を？｣
｢翔ちゃんの誕生日もうすぐだから｣
｢ああ、誕プレ？｣
｢きっと最高のプレゼントになるょ｣
嬉しい話のはずなのに何でそんな顔をするんだよ。
｢お前･･･何しようとしてる？｣
｢翔ちゃんが幸せになれること｣
｢それってお前も？｣
｢･･･私は･･･うん、大丈夫。私には歌があるから｣
翔くんと歌なんて比べものになる訳ないだろう。
大丈夫だなんて言うなよ。
｢･･･なんで泣く？｣
｢ん･･･っ、わかんない｣
｢ここ･･･痛いんじゃねえの？｣
手を取りそれを胸に当てた。
｢･･･んで、わかるの？｣
｢フン･･･当たり前だ｣
｢だけど乗り越えなきゃいけないの｣
｢諦めたらそこで終わりなんだぞ？｣
｢うん･･･終わりだね｣
｢いいのか？｣
｢･･･んん･･･けど･･･でも･･･どうしよう｣
｢迷うならやめろ！別にこのままでもいいだろう？｣
｢このままじゃダメ･･･翔ちゃんのためなんだからね｣
翔くんを好きで好きで大好きで
自分の体に傷を追ってでも手に入れようとした
お前の気持ちは痛いほどわかる。
俺も雅紀を手に入れるためなら
何だってしたに違いない。
｢ねえ、じゅん？｣
｢なんだよ｣
｢好きな人と両想いになれるのって
奇跡だと思わない？｣
｢なんだそれ｣
｢私には奇跡なんて起きなかったな･･･｣
頬に伝う涙を拭いながら微笑むお前を見たら
どうしようもない感情が込み上げてきた。
お前って放っておけないと言うか
側にいて守ってやりたいと言うか･･･
きっとニノもこんな気持ちなんだろうな。
思わず、目の前のAを抱きしめていた。
｢え･･･なに？じゅん？ねえ･･･｣
｢いいから黙ってろ｣
｢ね、こんな事したら相葉ちゃんに怒られるよ？｣
｢･･･雅紀だって同じ事するはずだ｣
｢･･･｣
｢まあ、あれだ･･･雅紀には言うなよな｣
｢ん･･･｣
｢俺たちが付いてるからAの思う通りにやれ｣
｢う、うん｣
お前には1日も早く心から笑える日が
来てほしいと願ってるからな。
俺だったら、お前をこんな辛い目に
あわせたりなんか絶対しねえのに･･･
って、そんな事を思う自分に驚いた。
やべぇな･･･この気持ち、
雅紀に気付かれないようにしないとな。
それでも俺はAを抱きしめる腕を
緩めることはなかった。
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
