優しさに溺れてゆく ページ37
和ちゃんの白くてしなやかな指先が
肌に触れると柔らかくて暖かさに包まれたくなる。
和ちゃんの透き通るような声は
目を閉じて耳を傾けると気持ちが穏やかになる。
和ちゃんのキラキラと薄茶色の瞳に
見つめられたら何もかもを預けてしまいたくなる。
｢･････好きだ｣
何度となく聞いてきた言葉を
私は何度となく誤魔化してきた。
それでも和ちゃんは私のそばにいてくれる。
その言葉に頷き受け入れることができたら
私はどんなに楽になれるだろう。
A｢和ちゃん･･･私｣
私の好きな人には好きな人がいるのに
それでも私の好きはまだ終わりにできない。
和也｢いいよ、わかってるから言わなくていい｣
和ちゃんが私から離れようとした。
A｢ダ、メ･･･っ｣
私は咄嗟にしがみついた。
和也｢え･･･Aちゃん？｣
A｢でも･･･和ちゃんにいてほしい｣
和也｢･･･｣
A｢和ちゃんがいいの｣
和也｢フッ･･･Aちゃんはズルいなあ｣
和ちゃんが呆れた声で言う。
和也｢俺のこと振り回して楽しい？｣
A｢ちが･･･｣
和也｢そうゆうの迷惑なんだよね｣
A｢ごめ･･･なさ･･･｣
和ちゃんから離れて泣きそうになる私。
和也｢･･･ククッ｣
私の顔を覗き込んだ和ちゃんが鼻で笑うから
少しムキになって言い返した。
A｢な、に･･･ょ｣
和也｢そう、それ(笑)｣
A｢なんで笑うの？｣
和也｢泣いたり怒ったり、忙しいんだよな｣
A｢和ちゃんがそうさせてるんでしょ｣
和也｢ほら、今度は開き直った(笑)｣
A｢もう、和ちゃんなんか嫌い！｣
和也｢俺は好きだよ。Aちゃんの全部が好き｣
A｢な･･･｣
和也｢何回でも好きって言うから覚悟しとけよな｣
A｢･･･んっ｣
和也｢あー、また泣いたらもっとブサイクになる｣
A｢ブサイクって･･･ひどい！｣
和也｢あはは｣
ユウ｢カズさん、そのくらいにしてくださいよ。
Aちゃんも熱があるんだから大人しくしてて｣
和也｢あ、ユウがいたこと忘れてた(笑)｣
A｢だね(笑)｣
｢ニノの優しさを利用するな｣
いまここにじゅんがいたら
また怒られたに違いない。
和也｢翔さんに話そう？｣
A｢え？｣
和也｢思い出したこと全部｣
A｢･･･｣
和也｢俺がそばにいるから･･･頑張れるよな？｣
A｢うん｣
和ちゃんは優しい。
そうやって私はまた
和ちゃんの優しさに溺れてゆく。
油断するな･･･side Sho→←何度目かの告白･･･side Kazu
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
