翔ちゃんの決断 ページ33
翔ちゃんはいまレギュラー番組の他に
ドラマの撮影もしていて寝る時間もないくらい
多忙な毎日を送っていた。
そんな中でも時間を見つけては
会いに来てくれる。
なんでもない他愛のない会話をしながら
いつになく静かな時間が流れてゆく。
翔｢それでさ、笑いが止まんなくてtake10越えだぜ｣
A｢クスクス･･･すごーい｣
翔｢･････A？｣
いきなり翔ちゃんが真面目な顔で向き合った。
A｢な、なに？｣
翔｢退院したら俺んとこに来い｣
A｢え･･･？｣
翔｢部屋すげえ散らかってるけど･･･
ちゃんと掃除しとくからさ｣
A｢･･･｣
翔｢杏花さんにも話してあるから｣
A｢･･･｣
翔｢嫌か？｣
A｢･･･(首を横に振る)｣
いまの私は素直に喜べない。
だって･･･
翔｢A、俺を見て？｣
俯く私の顔を翔ちゃんの両手が包み込む。
その手に促されてゆっくりと顔を上げると
翔ちゃんは優しく微笑んだ。
翔｢俺たち･･･同じ事を繰り返してる気がしないか｣
翔ちゃんが私の目を見てゆっくりと話はじめた。
･･･ルリがいなくなってからずっと、
俺はどうしたらいいのかどうしたいのか
わからないままで。
そんな俺の態度がAをここまで追い詰めた。
もう終わりにしよう。
そしてここからはじめよう。
俺の気持ちは決まってる。
俺はお前と一緒にいたい。
これからどうなるのかどう変われるのか
何かを変えたいと思う時に
最初に変えなきゃいけないのは自分自身。
だから見ててくれないか･･･俺は変わるよ。
Aのためにも、俺たちのためにも。
A｢･･･私も変わらなきゃダメ？｣
翔｢AはAのままでいい･･･だけど｣
A｢だけど？｣
翔｢少しだけ変えてみようか｣
A｢何を？｣
翔｢･･･ルリのことを忘れろ｣
A｢え･･･？｣
翔｢ルリとの思い出も･･･｣
A｢そんな･･･｣
翔｢ルリの存在が俺たちを苦しめているんだ。
いままでのことも全部忘れて無かったことに･･･｣
A｢翔ちゃんはお姉ちゃんを忘れられるの？｣
いままで私の目を見て話していた翔ちゃんが
一瞬だけど目をそらした。
翔ちゃんにそんなことできるわけない。
いまでもお姉ちゃんを愛しているのに。
翔ちゃんにそんなことを言わせるなんて
胸が痛い･･･心が苦しい･･･
言わなきゃ、いま言わなきゃいけない。
｢･･･しょ、ちゃ･･･聞いて｣
｢私が･･･私のせいなの｣
SOS･･･side Kazu→←会いに来た会いたかった･･･side Kazu
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
