無理しても会いにいく･･･side Sho ページ29
｢もしもし？A？やっと出たな｣
｢･･･しょ、ちゃん？｣
｢具合はどうだ？｣
｢ん、だいじょぶ｣
｢今日そっち行けそうなんだ｣
｢･････｣
｢何か食べたいものあるか？｣
｢･･･ない｣
｢何でもいいから言ってみろよ｣
｢何にもいらない｣
｢お前の好きなものって｣
｢翔ちゃん？無理して来なくていいよ｣
｢無理？そんな事ない･･･｣
｢私は大丈夫だから、仕事頑張ってね｣
プッ･･･
翔｢おい、A？！｣
なんだかAの態度がおかしい。
完全に俺を避けてる気がする。
確かに仕事がたて込んでいて
なかなか会いに行けない。
それで不貞腐れているのか？
･
･
結局、予定よりだいぶかかってしまい
病院に着いた頃には日付が変わっていた。
翔｢はぁ･･･やっぱ寝てるよな｣
ガラッ
病室へ入ろうとした時、
中にいた杏花さんと鉢合わせをした。
杏花｢あら、櫻井くん？｣
翔｢こんばんは。あの遅くにすいません｣
杏花｢おつかれさま｣
翔｢あ、寝てますよね？｣
杏花｢ついさっきね。やっと睡眠薬が効いたみたい｣
翔｢･･･睡眠薬？｣
杏花｢ちょうどよかったわ、話があるの｣
杏花さんと部屋の隅にあるソファーに座った。
翔｢Aは睡眠薬を飲んでるんですか？｣
杏花｢ええ、眠れないみたいなの。
体は回復に向かってるんだけどね、
気持ちが不安定で･･･櫻井くん？ルリの事･･･｣
翔｢いえ、まだ｣
杏花｢そうね、まだ話さないほうがいいわ｣
未だ状況は変わらずルリは見つかっていない。
杏花｢ねえ、ルリは本当に生きてるのかしら？
だってこれだけ探しても見つからないなんて｣
カラン･･･
杏花｢え？｣
Aが寝ている方から何か床に落ちた音がした。
杏花｢A！？大丈夫？｣
A｢あ･･･｣
杏花｢いまの話･･･｣
A｢のどかわいた｣
翔｢ 杏花さんは休んでください｣
杏花｢でも･･･｣
翔｢後は俺がやりますから｣
杏花さんは戸惑いながらも部屋を後にした。
翔｢水飲むか？｣
A｢ん･･･｣
起き上がるAの背中を支えてやると
コップに入れた水を飲んだ。
A｢･･･しょ、ちゃん｣
翔｢なんだ？｣
A｢ギュ、して？｣
いきなり俺を見上げ甘えた声を出した。
ベッドに腰掛けAの体を優しく包み込む。
A｢来てくれてありがと｣
その言葉を聞けて嬉しくなった。
いま目の前にいるAが愛しくなり
頬を引き寄せそっと唇を重ねた。
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
