悲しい選択･･･side Sho ページ24
翔｢ル、リ･･･くな｣
智｢翔くん･･･？｣
翔｢行く･･･な、行くなっ｣
智｢翔くんっ？！｣
智くんの声がして目を開けると
目の前には白い天井が広がる。
翔｢･･･俺｣
智｢大丈夫？すごいうなされてたよ｣
いま自分の置かれている状況が分からなくなった。
智｢急に倒れたからビックリした｣
･･･ああ、そうだった。
ガラス越しにAの姿を見たら
あの日のことが蘇って･･･
翔｢A･･･っ！？｣
起き上がろうとしてまた目眩を起こした。
智｢あっ起きたらダメだよ、点滴してるからね｣
翔｢はぁ･･･｣
バランスを崩した体を
智くんが受け止めてくれた。
翔｢智くん･･･Aは？｣
智｢良くも悪くも変わらない･･･
大丈夫だよ、みんながついてる｣
翔｢俺のせいだ･･･俺がAをこんなにした｣
智｢翔くん･･･｣
翔｢もっと早くルリの事を話せてたら･･･｣
･･･ずっと話せないでいた事がある。
隠していた訳じゃない。
確信が持てるまではと引き延ばしていた。
翔･････
私はもういない･･･いなくなるわ
あの子のために私ができること。
翔が幸せにしてあげて
そう言い残して･･･
ルリは俺たちの前から姿を消した。
ひとりでは動けるはずもないのに
ルリの意思で誰かがそうしたのだろうか。
Aのためにできることは
自分が消えることだと悲しい選択をした。
だから俺は･･･
翔｢ルリは亡くなったとAに告げた｣
智｢それでよかったんだよ｣
翔｢いや、いつかはわかることなのに･･･｣
智｢それでもあの時はそうするしかなかったよ｣
翔｢あぁ･･･｣
智｢翔くんだってこんなに苦しんでるじゃないか｣
あれからずっとルリを探していた。
もしかしたらルリはもういないのかもしれない。
だけどどこかで誰かと生きている･･･
いまでもそう信じてる。
翔｢Aまでいなくなったら･･･俺は｣
智｢そんな事はないよ、絶対にないからね｣
翔｢フッ･･･智くんに言われると安心するな｣
智｢フフン、オイラはリーダーだぞ｣
昔からそうだ。俺たちリーダーの言葉には
絶対的な説得力がある。
智｢もう少しこのまま･･･ね｣
智くんに促されて目を閉じた。
手のひらから伝わる温もりが眠りへと誘う。
雅紀｢翔ちゃん！起きて翔ちゃんっ！｣
どのくらい眠っていたのか･･･
雅紀の叫び声で目を覚ました。
翔｢ん･･･っ｣
雅紀｢Aちゃんが目を覚ましたんだよ！！｣
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
