ツナガルキモチ・・5th【Sho ＆ Kazu】【さくらみや】 (ページ23)

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あの日･･･side Sho ページ23

あの日、、

俺はふたりの帰りを待ちきれずに
マンションの外へ出て
帰ってくるであろう大通りで待っていた。

朝から降っていた雨は
さらに勢いを増している気がした。

さしていた傘も意味がなく
腰から下はすでにびしょ濡れだった。

Aのことは少しずつ考えていたんだ。
一途に俺を想う気持ちは知っていたから。

Aは俺とルリのことを誤解していたが
俺はルリに自分の気持ちを正直に話した。

｢Aのことを、受け止めようと思う｣

それを聞いたルリは優しく微笑んだ。

｢翔･･･ありがとう｣

だから、もう･･･

俺たち(俺とルリ)に
気を遣わなくてもいいんだ。

俺たち(俺とA)の
これからをちゃんと話そう。

キキキキ･･･キキキィ･･････

不意に耳を引き裂くようなブレーキ音が
聞こえてきて顔を上げたら

見覚えのある車が目の前で横にスライドしていき
ヘッドライトが大きく弧を描き歩道に乗り上げた。

翔｢･･･え････････｣

その光景を目の当たりにした俺は
言葉も出せずにその場に立ち尽くしていた。

ふとサイレンの音が近づいてきて我に返る。

人混みを掻き分けていくと
車の中からAが運び出されるのが見えた。

その姿はまるで
赤い絵の具で塗りつぶされたように
雨で流れ落ちる水が真っ赤に染まっていて

翔｢あ･･･A･･･血･･･血がこんな、に･･･｣

｢もうひとり中にいる！｣

｢ダメだ、反応しない･･･｣

｢急いで外に出すんだ！｣

救急隊員が懸命のやりとりが聞こえる。

翔｢は、やく･･･早くルリを助けてくれ！！｣

ルリは車中に取り残されたまま動かない。

こんな事になるなら･･･

どうして先に行動しなかったのか
どうして早く気持ちを伝えなかったのか

どうして･･･どうして･･･

俺はただただ後悔しかなかった。

｢覚悟しておいて下さい｣

そう先生から言われたのは
背中に深い傷を負ったAの方だった。

｢おね、ちゃ･･･ごめんね･･･ごめんなさ｣

それでもなんとか命を繋げたAは
うわ言のようにその言葉を繰り返す。

そして意識を取り戻したルリが俺に言った。

｢翔･････
あの子をひとりにしないで

私はもういない･･･いなくなるわ
あの子のために私ができること。

そばにいて、守って、愛して
私の代わりに･･･私の分まで･･･

翔が幸せにしてあげて｣

それが･････

ルリを見た最後だった。