悲しい選択 ページ4
☆あなたside☆
｢社長、Aさんをお連れしました｣
岩野さんが特別室と書かれた病室の扉を叩く。
｢･･･入りなさい｣
中からお義父さんの声がした。
岩野さんに促されて部屋に入ると
お義父さんはベッドの上に横たわっている。
｢Aさん、よく来てくれたね｣
点滴に繋がれた腕を上げて起き上がろうとした。
｢社長？！そのままで｣
慌てた岩野さんがベッドに駆け寄り
お義父さんの背中を支える。
｢大丈夫だ｣
｢しばらくは安静だと先生も仰っています｣
｢全く岩野は大袈裟にするな｣
お義父さんは笑っていたけど
その顔は窶れ疲れている様にも見えた。
｢あ、の･･･｣
｢ビックリさせてしまったかな｣
｢あたし、何も知らなくて｣
｢はは、ただの検査入院だよ｣
何となくその笑顔がぎこちなく感じるのは
気の所為なのか･･･
さっきまでの不安がまた襲いかかる。
あたしは思わずお義父さんに抱きついていた。
｢･･･っ？！ Aさん？｣
お義父さんの大きな手があたしの頭を包み込む。
｢心配しなくて大丈夫だよ｣
お義父さんの優しい声は潤とよく似ている。
｢潤は･･･？｣
潤の名前を出した途端、
お義父さんの顔色が変わった。
｢･･･ああ｣
｢潤は･･･此処に来ましたか？
今何処にいるか知っていますか？｣
｢･･･それは｣
｢社長？｣
岩野さんが少し強い口調でお義父さんを呼んだ。
｢･･･いや、私がこんな状態だから
潤には私の代わりに色々と
飛び回ってもらっているんだよ｣
やっばり出張が長引いているだけだった。
そう聞いて安心したけど･･･
いつも潤の側にいるはずの岩野さんが
ここにいるのが不自然な気がした。
｢Aさん？実は大事な話が･･･｣
お義父さんかあたしをここへ呼んだ理由は･･･
潤と籍を入れる事は知っているのだろうか。
｢いや･･･何でもない｣
お義父さんは言葉を飲み込んだ。
｢社長？！｣
また岩野さんが何か言いたい様子で
お義父さんを呼んだ。
｢今日はもう帰りなさい｣
｢社長、お話を･･･｣
｢会いに来てくれてありがとう｣
｢しかし社長？｣
｢岩野、Aさんをお送りしなさい｣
｢･･･っ、わかりました｣
｢今度は潤と会いに来てくれるかな？｣
｢は、い｣
｢ふたりの結婚式が楽しみだよ｣
お義父さんは優しく微笑んだ。
だけどその笑顔の裏側の現実を
あたしはまだ何にも知らなくて
それを知ったあたしは･･･
世界一悲しい選択をする事になる。
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にのおと - ここで終わらないでください！(泣) え！？まさか本当に終わりですか？ え！？終わらないでください！(泣) 更新よろしくお願いします。 (2020年4月10日 3時) (
レス) id: 717d351d89 (このIDを非表示/違反報告)
中山有理(プロフ) - これで、終わりじゃないですよね？続き楽しみにしてます！ (2019年9月16日 16時) (レス) id: 4caa292c85 (このIDを非表示/違反報告)
亜希子(プロフ) - 一気読みしました。とっても良かったです。これで終わりですか？違いますよね？ (2019年1月8日 19時) (レス) id: 7fa4b72743 (このIDを非表示/違反報告)
いちごまる - 途中で終わりでしょうか？？ (2018年12月29日 20時) (レス) id: 3d374c1e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きらら | 作成日時：2018年11月29日 22時
