68 ページ28
ア 「続いての演奏は、影山 Aさん。曲は______です。」
朝食べたものが胃にない気がする。
視界もクリアだし
会場のざわついた音も気にならない
心臓は静かだし
いつも通りの足取りで歩くこともできてる。
飛雄のくれた靴、徹に貰ったドレス。
飛雄にやってもらった髪の毛。
潔子から去年貰ったネックレス。
あぁ、今日は絶好調だ。
ピアノに触れた瞬間
いける
そんな気がした。
__________________
____________
______
パチパチパチパチパチパチ
『ふぅ……』
無事に演奏を終え、深くお辞儀をして袖に捌ける。
楽屋に戻るとそこには、なぜか
母がいた。
しばらく遠くに行ってたんじゃ……
『お母さん!』
母 「素晴らしい演奏だったわ。
成長したわね。」
『ありがとうっ……私、私!』
母 「次の子の演奏が最後ね。
安心しなさい、貴方の演奏が誰よりも素晴らしかったわ」
今回のコンクールは
今後の人生を左右するコンクール。
審査員長賞か、一位を獲得することが出来れば
CDを販売出来る。
収録させてもらえるらしい。
今後どんな道に進むとしても、販売させてくれるらしい。
希望も出せば、歌のレコーディングもしてくれるとのこと。
このチャンス、逃す訳にはいかない。
時は流れ、表彰式
演奏順に舞台の上へ並ぶ。
はあ、何度並んでも緊張する。
飛雄も試合の度、こんな風に緊張するのかなぁ。
どんどん発表されていく中、私の名前はまだ呼ばれない。
司 「審査員長賞、及び今大会1位の方を発表致します。
審査員長賞、1位受賞者は……」
お願い、お願い!
来て。来て。私の元へ。
司 「影山 Aさんです!」
『あ、ありがとうございます…』
小声でそう呟く。
なんて幸せなんだろうか。
はあ、ほんっと最高。
この後、色々インタビュー受けたり
まあとにかくほんとに色々あり、会場の外へ出る。
『徹……』
及 「お疲れ!ほんっとに凄かったよ。ほんと…ほんと凄いよ……」
そう言って、徹に抱きしめられた。
彼氏いるから、と言おうと思ったけど
こんなに喜んでくれてる人を突き放すのは何となく気が引けた。
だから、
『ありがとね。徹のくれたドレスのおかげだよ。』
404人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ