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ア 「続いての演奏は、影山 Aさん。曲は______です。」




朝食べたものが胃にない気がする。




視界もクリアだし


会場のざわついた音も気にならない


心臓は静かだし


いつも通りの足取りで歩くこともできてる。


飛雄のくれた靴、徹に貰ったドレス。



飛雄にやってもらった髪の毛。



潔子から去年貰ったネックレス。




あぁ、今日は絶好調だ。


ピアノに触れた瞬間



いける


そんな気がした。





__________________


____________


______





パチパチパチパチパチパチ



『ふぅ……』



無事に演奏を終え、深くお辞儀をして袖に捌ける。



楽屋に戻るとそこには、なぜか



母がいた。



しばらく遠くに行ってたんじゃ……




『お母さん!』


母 「素晴らしい演奏だったわ。


成長したわね。」



『ありがとうっ……私、私!』


母 「次の子の演奏が最後ね。


安心しなさい、貴方の演奏が誰よりも素晴らしかったわ」



今回のコンクールは


今後の人生を左右するコンクール。



審査員長賞か、一位を獲得することが出来れば




CDを販売出来る。



収録させてもらえるらしい。


今後どんな道に進むとしても、販売させてくれるらしい。


希望も出せば、歌のレコーディングもしてくれるとのこと。


このチャンス、逃す訳にはいかない。




時は流れ、表彰式



演奏順に舞台の上へ並ぶ。


はあ、何度並んでも緊張する。


飛雄も試合の度、こんな風に緊張するのかなぁ。



どんどん発表されていく中、私の名前はまだ呼ばれない。



司 「審査員長賞、及び今大会1位の方を発表致します。


審査員長賞、1位受賞者は……」



お願い、お願い!


来て。来て。私の元へ。


司 「影山 Aさんです!」



『あ、ありがとうございます…』


小声でそう呟く。


なんて幸せなんだろうか。



はあ、ほんっと最高。



この後、色々インタビュー受けたり


まあとにかくほんとに色々あり、会場の外へ出る。



『徹……』


及 「お疲れ!ほんっとに凄かったよ。ほんと…ほんと凄いよ……」


そう言って、徹に抱きしめられた。



彼氏いるから、と言おうと思ったけど


こんなに喜んでくれてる人を突き放すのは何となく気が引けた。

だから、


『ありがとね。徹のくれたドレスのおかげだよ。』

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作者名:瑚城桃李 | 作者ホームページ:ないでーす!  
作成日時:2021年1月15日 0時

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