カフェラテ〜Kota〜 ページ9
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『んだよ、ったくめんどくせぇな』
そんな言葉とは反対に、ふははと鼻声で笑う。
ソファの上で胡座をかいている宏太との距離はクッション一つ分ほど。ちょっと遠いなぁなんて思いながらも、込み上げてくる嗚咽をぐっとこらえて膝を抱えた。
『子供だな』
私の一番嫌いな言葉をひょいと口にしてしまう。その度にこっちは胸を痛めてるっていうのに…呑気に鼻で笑うなんて。ちょっと酷すぎるんじゃなかろうか。
カチッと、電気ケトルが音を立てたのを確認して、気を取り直すべくソファに手をついて腰を上げようとした瞬間。
『あーいいいい。お前は座ってろ』
制止するように肩へと添えられた宏太の手。それがなんだか悔しくって。
「…できないくせに」
背の高い彼に黒目を向けた。
『馬鹿言うな、カフェラテぐらい俺でもできるわ』
ふははと笑ってだらしなくキッチンに向かう。でも、ほら去年の冬だって。スティックから出した粉末にお湯を注ぐだけのそれが、驚くほどに薄味で散々だったじゃない。
帰宅してから間もないせいでひんやりとした宏太の部屋。コンセントに繋いだまま隅に寄せられたゲーム機を見れば、相手にしてもらえなくてこそっと拗ねただけの夏の思い出が蘇った。
それからテレビのローチェストに置かれた全然知らないマニアックなサッカー選手のフィギュアも。夜な夜な生中継で試合観戦するものだから、一人で寝たなぁとか。
全部ぜーんぶ悲しい記憶。
『ん。今日は味見したから完璧だわ』
コトン
どこかのクラブチームのエンブレムが描かれたマグカップを置いて、どしっと隣へ腰を下ろした宏太。
それを横目に伺ってみれば、上唇に人差し指を添えてきりりとした目つきでどこか一点を眺めていた。
「それでさっきの続き…」
『ん〜？…あ、濃さどう？』
わかり易く話を逸らされても
「もう別れたい、しんどいもん」
勇気無く何度も諦めた台詞をやっと少し冷静になって口に出せた。
.
終わり
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名乗るほどのものである - 最高です!!面白すぎます (2018年7月26日 21時) (
レス) id: fd156ce63a (このIDを非表示/違反報告)
アビ(プロフ) - 伊野尾くんのやつめっちゃ好きでツイッターからのファンなんですが、また読めて嬉しいです！ (2016年10月30日 17時) (レス) id: 64bc1d8dfa (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 「ぼくのもの」でした。大変失礼致しました。 (2016年10月23日 11時) (レス) id: aca4ba6b58 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - 「ぼくのもの。」のお知らせからやって来ました！初コメ失礼しますm(_ _)m 光くんと圭人りん、どちらもリアルでとてもキュンキュンしました(〃ω〃) 次は伊野尾さんなんですね！たのしみにしています(*ﾟ▽ﾟ*) (2016年10月23日 11時) (レス) id: aca4ba6b58 (このIDを非表示/違反報告)
sanana - キュンキュンします。 八乙女さん、かわいいですね (2016年10月22日 21時) (レス) id: b374eaf232 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のん(@non_ohanashi)
| 作成日時：2016年10月22日 18時
