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教室を出ると、ミノの言った通り外は寒かった。
なのにミノはまだ楽しそうにサッカーをしていて、彼はつくづくスポーツが好きだ。
「あーさむ。」
本当はミノと一緒に帰ろうかと思ったんだけど、女子がまだ群がってて多分あれは終わるのを待ってるからやめた。
一人で暗い中歩くのは少し怖いけど、別に慣れてないわけじゃない。
ただちょっと寂しいの。
ミノの優しさを知ってるから。
必ず帰りに会うと「一緒に帰ろう」って言ってくれるその一言を知ってるから。
「Aー!」
あれ、遠くからミノの声が聞こえるような…
でも違ったら恥しいし、怖いしで振り向けない。
「A!」
「うわっ!!」
私のカバンをぐっと引っ張られて振り返ったらやっぱりミノで。
「もー、何で無視するんだよ!」
「びっくりしたぁ…。
違うよ、ただ違ったら怖くて振り向けなかったの!」
「あーそっかA怖がりだもんな。
ごめんごめん。」
すぐ真摯に受け止めるバカ真面目。
もちろんミノのいいところなんだけどさ。
「それよりミノ早くない?私が帰る時まだサッカーしてたのに。」
「あぁAが終わったら俺も帰ろうと思ってたんだけどいつの間にかA帰っちゃってたからさ、急いで来たんだ。」
「…急がなくても良かったのに。」
「またそういう言い方して。そこはありがとうだろ!」
「…ありがとう。」
私がそう言うとミノは満足げに笑った。
こんな風に言われたら誰だって自分に気があるのかな?って思うかもしれないけど
私はしない。
いつも大体このあとに爆弾落としてくんだもん。
「途中まで隣のクラスの女子と帰ってたんだけど、体育祭の後一緒にご飯行くことになってさ。前にAが行きたがってたところだからAも行く?」
…ほらね。
ミノとしては深く考えて無いんだろうけどさ、片思い相手からすると辛いんだよね。
「いいよ、その子達に悪いもん。」
「Aなら大丈夫だと思うけど?
それに俺一人でそこまで行くの不安じゃん?」
「その言葉まんま返すよ(笑)」
ミノは頭にはてなマークを浮かべてるけど
だってその子達の中に絶対ミノのこと好きな人いるもん。
「あ、もう着いた。じゃまたな!」
「うん、またね!」
ミノは私が家に入っていくのを確認すると
足早に帰って行った。
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作者名:S | 作成日時:2017年10月29日 17時