理想と現実短編集 (ページ38)

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【お調子者】ページ38

なんとなく、

察した。

『久しぶり…元気だった？(笑)』

BH「…ぼちぼち。そっちこそ元気？」

2人でぶらりと立ち寄ったカフェ。
そして注文をとりにきた美人な年上な店員さん。

『うん。そちらは彼女さん？(笑)』

BH「うん、まぁね。」

『…そう。(笑)』

きっと2人はそういう関係だったんだろうな、って察するのは容易なほど特有な雰囲気が漂っていて。

「あの…注文いいですか？」

でも私にとってその雰囲気は決して居やすいものではなく、
話を遮る、嫌な態度をとってしまった。

けれど彼女は嫌な顔もせず『ごゆっくり』ときちんと仕事をしてキッチンへ行った。

BH「A？」

「…何？」

BH「いや…何でもない。
ここ日当たりがいいな。」

人の気持ちに敏感なベクだから。
私が気づいたのに気づいたんだろうな。

でも何も言わないのは、昔と違う証拠。

「ね。すごく素敵なところ。」

だから私も変わったところ見せないと。

そう思っていつも通りに接しようと思うけど、やっぱり気にしちゃうもんだね。

彼女を目で追ってしまうし、
その彼女を目で追ってないかベクの目も追ってしまう。

『お待たせいたしました。』

そんなこと考えていたら、すぐに料理が運ばれてきた。それもまた彼女が。

『以上で、ご注文の品は揃いましたか？』

BH「はい。」

『では失礼し…あ、そうだベク。
今度、みんなで集まるんだけどベクは行く？』

BH「あー…。」

『じゃあまた決まったら連絡して？
ベクが行くなら私も行くから。』

BH『…ん。』

最後にそう言って"私に"とびっきりの笑顔を見せて戻って行った。

多分、性格が悪い訳じゃないとは思うんだけど…

宣戦布告された気分。

BH「A、」

「ん？」

BH「…行かないから。心配するなよ？」

何も聞いてないのに。

それが逆に彼女と何かあったことを明白にさせて。先に釘を刺されたような気持ちになった。

「別に行きたいならいいよ？行けば。」

BH「…は。いや、何言ってんの。」

「私のために無理することないじゃん。仲良しの集まりなんじゃないの？」

BH「そうだけど…。」

「それなら行っておいでよ。」

自分でも恥ずかしいぐらいにわかりやすく嫉妬してる。

大人になった自分を見せようとしてたくせに。

結局、私はいつまでも子どもだ。