【94】 ページ34
セフンのクールで怖いイメージって
どこから来てるんだろう、って最近思う。
だって、
SE「A。おいで？」
こんなに優しい口調で
SE「早く来てよ。横が寂しいんだけど？」
こんなに甘えたさんなのに。
セフンと私は別々の大学に通っているから
会える日はそう多くない。
…っていうのは嘘。
家が近いから会おうと思えばどうにでもなるっていうか、
毎日会っている。
でも親に言えてないから
家に入れる勇気はなかなかでなくて。
親のいない間を狙って、こっそりお互いの家を行き来してる。
SE「A、」
「…ん。」
SE「ふっ、かわいい。」
呼ばれたと思ったら不意にキスされて。
付き合い始めてから
セフンのキス魔には心底驚かされる。
今まで彼氏はいたことあるけど、
キスとかしたことなくて
嬉しいことに
私のファーストキスはセフンだ。
だから私はセフンとのキスしか知らないんだけど…
それでもわかるセフンの上手さには少々妬ける。
SE「…A、いい？」
肩を少し押されればあっけなく倒れる私。
その上にゆっくり跨るセフンは男の顔。
このまま私は新しい階段を登るんだ…。
そう考えると嬉しくって不安でもあって。
SE「大丈夫、俺がリードするから。」
セフンの男らしさが私をきゅんとさせる。
けど、どうやら私の顔が歪んでいるようで
セフンは優しくキスを落としながら私に聞く。
SE「…嫌？」
嫌なわけない、そう思って首を横に振る。
SE「…怖い？まだ早すぎる？」
「……」
ううん。
なのに、自分でもわからないけど
私の頬を伝ってるのは間違いなく涙だ。
SE「じゃあどうした？」
「……。」
SE「言ってくれなきゃわかんない。」
違う、違うの。
何度も首を横に振っても出てこない声。
セフンが苛立ってきてるのがわかる。
甘い雰囲気が、さーっと引いていく。
SE「…とりあえず、今日は帰って。」
頷くことしか出来ない私にきっとセフンは呆れてる。興ざめさせちゃったんだもん。
でも冷たい口調とは反対に、
私の服を整えるセフンはどこまでも優しい。
SE「…また連絡する。」
本当は涙の理由は分かってる。
だから伝えたいんだ。
それでも止まらない涙に私は促されて、
「ひっく…お邪魔っしましたっ。」
セフンの家を出た。
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作者名：S
| 作成日時：2017年10月29日 17時
