＊ ページ24
「「さようなら｣」
今朝の件はすぐに広まって
いちいち私に聞く人は居なくなった。
それを嫌がっていたのに、
いざそうなると寂しく思う私はめんどくさい性格だ。
「じゃあねA」
「バイバイ」
掃除を終えて途中まで友達と一緒に帰る。
そこから1人で帰るのは寂しいけど、
ゆったりと帰るのが好きだったりもする。
「Aちゃん！」
「…テミナ？」
けどその空間は一瞬にしてテミナに壊された。
「どうしたの？」
「Aちゃんと一緒に帰ろうと思って。」
「え？どうかした？」
「え？嫌だった？」
質問を質問で返されても…
ただ何かあったのかと思ったただけで
嫌なはずもなく。
「ううん。そんなことないよ。」
「やった！」
今日は驚かされてばかりだけど、
純粋な返事をするテミナはやっぱり昔と変わってない。
けどこうして話すのも久しぶりだし、
今朝のことで妙に意識してしまって…
「「………」｣
気まづい、この一言に限る。
なのに
横からの視線を痛いほど感じるから隣を見れば、
「…何でニコニコしてるの？」
これまたエンジェルスマイルで私を見てるテミナ。
「んー？嬉しくって。」
「嬉しい？」
「うん。Aちゃんとまた一緒に居られるのが嬉しい。」
「…今朝は関係ないって言ったのに？」
しまった。
テミナの"関係ない"はここで意味するのとは全然違う意味なのに。
しかも自分でも呆れる嫌味ったらしい言い方。
「ごめん、その、｣
「関係あるよ。｣
「え？」
「あれはAちゃんのこと守りたくて言っただけ。
…小さい頃みたいに僕のせいで迷惑かけたくなかったから。」
「迷惑？」
「いつも僕を守ってくれたじゃん。
でもそのせいで女の子にAちゃんが嫌がらせ受けてたの知ってたから…」
そう言えば、そうだった。
テミナが男の子にいじめられた理由は
女の子っぽいのにモテるからだった。
そのテミナといつも一緒の私は当然女の子に嫌がられるわけで…
人間、嫌なことは忘れる生き物みたい。
「今度は僕がAちゃんを守る。
だから一緒にいさせて…？」
「それはどういう…ん」
急に塞がれた唇。
そしてゆっくり離れた顔。
「意味…わかったでしょ？」
帰ってきた幼馴染はいつの間にか
色っぽい男性になってました。
End.
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作者名：S
| 作成日時：2017年10月29日 17時
