＊ ページ32
あれから。
大学が始まって全然セフンと講習が被らなくなった。
また気持ちを再認識して
会いたくてたまらないのに。
「…はぁ。」
一緒に帰ってたわけでもないけど、
一人で車校から帰るのがすごく寂しい。
SE「大丈夫？
お兄ちゃんと一緒に行こっか？」
セフンの声が聞こえたような気がした。
でもそれは気のせいではなくて。
横をみたら泣いてる男の子を慰めてるセフンがいた。
見た感じ、
男の子が自転車に乗っていたら転けて怪我したみたい。
SE「･･･。」
「…あ。」
見てたら目が合っちゃった…
ど、どうしよう。
SE「…ちょうどよかった。
俺が自転車引くから、Aがこの子連れてって。」
「あ、え…うん。」
また不意に呼ばれた名前にドキッとしながら急いで2人に駆け寄る。
SE「家すぐみたいだから。」
「うん。」
3人で並んで歩道を歩く。
内心、親子みたいだな〜って思ったり。
『あ、』
「どうしたの？」
『血が出た。』
擦りむいたところから何ヶ所か血が出ていて
私が絆創膏を貼ろうとしたら、
『…いい。』
「なんで？」
『お姉さんの無くなっちゃう。』
「でもお姉さんももう使ったから。いいよ？」
『ダメ。』
…かわいい。なんて可愛い子なんだ。
でも頑固でなかなか引き下がってくれない。
SE「これ、お兄さんがお姉さんにあげたんだ。だからお兄さんも使って欲しいな？」
『…うん。』
セフンは「まだ94枚もあるよ」と微笑んだ後、私と目を合わせた。
『…ここ。ありがとう。』
少し歩いたら着いたもうこの子の家。
セフンは家の駐車場に自転車を止めた。
「どういたしまして。じゃあね！｣
SE「次からは怪我しないように気をつけろよ。」
『うん。』
手を振り、その場を後にした。
私たちは相変わらず無言だけど。
いい事をしたという気持ちなのか清々しい気分で。
「へへっ」
SE「なに？」
「あ、いや…別に。」
思わず出た声に自分自身驚く。
でも、もっと驚いたのは
SE「昔から独り言多いよな。」
「え？」
SE「講習の時も先生につっこんでたのも聞こえてた。」
「…本当に？」
セフンから話しかけてきたこと。
元々、口数少ないからそんなことあんまりなくて。
SE「嘘はつかない。」
「…そうだね(笑)」
思い出す、昔のこと。
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作者名：S
| 作成日時：2017年10月29日 17時
