理想と現実短編集 (ページ28)

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重たい腰をあげ嫌々家を出る。
いつもの時間、いつもの並ぶ場所。

「…そりゃいるよね。」

高校を卒業し大学生になるまでの穏やかな時期。私は車校に通い出した。

それは"あいつ"も例外ではなくて。

車校に行くためのバス停に並べば、

オールブラックコーデを見事に着こなしてモデルみたいにかっこいいあいつ。

オセフン。

・

セフンと私は一般的な幼馴染だと思う。

幼稚園が終わったら公園で遊ぶとか、
親達の止まらない話が終わるまで遊ぶとか。

でもそんな時代はいつしか過ぎて。
小学生、中学生、高校生...春には大学生。

そして

気付けば、私達は他人になってた。

・

「「･･･」」

私が隣に並んだところで､セフンはこちらを一瞥することなくもずっとスマホをいじってる。

セフンはバスで必ず後ろから2番目の席に座る。

私も後ろに乗りたいんだけど、何だか気まづくっていつも一番前。

次にバスから講義室に向かう時は、
詰めて座っていくから間に人が入るようセフンとの距離を空ける。

最後はまた離れて座ってバスで帰る。
バス停から降りて家まで向かう時も距離が縮まらないように。

まぁつまり、

車校に通ってる間、独りでに気まづく思って神経遣ってるわけ。

…でも実は会えて嬉しかったりもするの。
だからセフンもそうであって欲しい。

だって何年も話してなくたって

気になるのが幼馴染ってもんでしょう？