天使 ページ21
保育園の頃、隣に引っ越してきた男の子。
『こんにちは!隣に引っ越してきました!
ほら、隠れてないで挨拶しなさい。』
『…こんにちは。イ・テミンです。』
今でもよく覚えてる。
お母さんの後ろからひょこっと顔を見せ
挨拶した男の子はまるで天使だった。
・
テミナと私は同い年で、共働きの両親のため同じ保育園で育った。
『何でお前こっちにいるんだよ〜女はあっちのトイレだぞ!』
『僕、男の子だもん…』
『そんな髪長いくせに嘘つくなよ!』
『またテミナに何してるの!』
『うわ、Aだ。逃げろー!』
女の子みたいな容姿のテミンはよくいじめられた。
でも温厚で物静かなテミンは何もしなかった。
だからいつからか私はテミンを守るみたいにいつも一緒だった。
『ねぇAちゃん。』
『なぁに?』
『僕ね、来週また引っ越すんだ。』
『どこに?』
『外国だって。』
『外国って近いの?』
『よくわかんない。でも引っ越すからしばらく会えなくなっちゃう。』
『そうなの?でもまた会えるでしょ?』
『もちろん!』
当時の私は引越しの意味をよくわかってなくて、すぐにテミナは帰ってくると思ってた。
だからお別れ会も何も気に止めてなくて。
けど1日、1ヶ月、1年…
いつの間にか7年もの月日が経った。
小学生低学年のうちはテミナが帰ってくることを期待してたけど
中学生になった今はそんな思いも忘れてしまった。
それでもテミンと1日違いの私の誕生日に毎年必ず届くプレゼント。
その度にどうしてるのかなって思うんだ。
・
『ピンポーン』
「あ、A出て!お母さんもすぐ行くから!」
「はーい。」
いつも通り扉を開ければ、
曖昧だけど見覚えるのある顔。
自ずと固まってしまった私の体。
私の後ろからお母さんが出てきて
お母さんは2人を見るなり笑顔になった。
「こんにちは!隣に引っ越してきました!
ほら、ちゃんと成長した姿見せなさい。」
「こんにちは。
イ・テミンです。…久しぶり(笑)」
また私の前に姿を現した天使は
すごく男らしくかっこよくなっていた。
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作者名:S | 作成日時:2017年10月29日 17時