恋人リスト (ページ8)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:50,829 hit

8 ページ8

・

基本的に待ち合わせ時間より早く行きたいタイプだ。

でも仕事が土曜休みという訳では無いので1日空いてる日がお互い合わず、金曜の仕事終わり夕飯を一緒に食べることにした。

そうなったことで待ち合わせ時間ギリギリになってしまった。

「Aさん、」

「あ、ジョシュアさん！お仕事お疲れ様です。」

スマホを触るわけでもなくぼーっと行き交う人々を見ていたAさんは俺の声に振り返った。

なんかいいなぁ、この感じ。

「Aさんもお疲れ様です。ごめんね、待たせちゃって。」

「いいよ、ちょっと待ったけど。」

行こう、と足を進めながらAさんは冗談っぽく笑った。

「なんて嘘だよ〜、いや嘘ではないか」

「はは、何それ」

「私は嘘は言わないタイプだから」

仕事帰りでこの一連の流れのやりとりがとてもナチュラルで、周りから見たらもう恋人に見えるんじゃないかって思える。

今日はスペイン料理屋さんに行くことになった。イタリア料理ではなくスペイン料理が食べたかったらしいAさんのリクエストだ。

正直、オフィススタイルが見れるのを楽しみにしてたけどAさんはきちんと綺麗に着飾っている。思えば保育士だからきっと家に帰ってから準備したんだろう。俺と会うために。

「わ〜雰囲気がいいお店だね。」

「うん、ここ料理も美味しいよ。」

「そうなんだ、ちょっとお洒落すぎて緊張しちゃう…けどなんかワクワクする！」

恥ずかしがらず素直に自分の気持ちを表現する姿はかわいらしいなと思う。それに喜んでくれてよかった。下見したかいがあった。

…ジョンハン曰く、2回目のデートで相手を見極めなくちゃいけないらしい。

そんなの難しすぎるし相手に失礼だと思う。けどアプリはそういうものだと。

だから今日の目標はAさんのことをよく知ること。

「Aさん嫌いな食べ物とかあるの？」

「ん〜基本はなんでも食べれるかな。あ、でもドライフルーツとかは苦手かも。」

「ジョシュアさんは？」

そしてあわよくば恋愛観について聞けたらな、と思う。

…聞けるかな、俺。

・