とあるチームスタッフの証言 ページ24
オープニングラウンドを1位で通過し、迎えたノックアウトステージ第１戦。
ここでアメリカに勝てば金メダルに大きく近づく。
序盤は苦しい展開が続いたが、9回裏の土壇場で1点をもぎとりなんとか同点に追いついた。
そして、試合はタイブレークへ。
勝つためには、ノーアウト１・2塁から始まるこの場面でなんとしてでも0で抑える必要がある。
恐らく抑えの栗林を使うのだろう。
誰しもがそう思っていたとき、稲葉監督から意外な名前が挙がった。
80「10回は雛森で行く」
「！！！」
「肩は？」と聞かれ「もう出来てます」ブルペン担当のスタッフが淡々と答える。
(まさか本当に雛森でいくのか？)
実際、雛森はシーズン通して先発以外の起用はない。
そんな投手を国際大会のこの場面で使うのは博打といか言いようがなくて。
曲がりなりにも俺だって戦略スタッフの一員だ。
隣に座る稲葉監督に、率直な意見を投げかけた。
「監督、」
80「ん、どうした」
「本当に、雛森に任せるつもりですか」
80「....と、いうのは」
「雛森はこれまでの公式戦で先発以外で登板したことはありません。
中継ぎであればいくらか対応は可能か思いますが、抑えとなると話は別です。
やはりここは、本職の抑えに任せるべきかと....」
自分の意見に対し、少し考える素振りをみせた監督。
だが、真っ直ぐ俺に向き直ってこう言った。
80「たしかに雛森は先発の経験しかないし、公の場での抑えはこれが初めてだ」
「だったら、」
80「でも、あいつは他の選手とは違う。
この場面で投げきれるのは、雛森しかいない。」
「！！！」
80「ここで雛森が打たれるようなことがあれば、全責任は俺がとる。」
俺はあいつに全てを託したいんだ、と確信を持ったように話す監督の目を見たら、もう何も言えなかった。
そして稲葉監督はゆっくりとベンチを出て、審判にピッチャーの交代を告げる。
「さぁ、なんと稲葉監督！この場面で栗林ではなく、雛森を使います！」
「これは...どういった采配なんでしょうねぇ」
雛森Aの名前が告げられ、会場がザワつく。
アメリカのベンチを見ても、まさかの展開に動揺しているようだった。
そしてその喧騒の中、ブルペンからやってきたリリーフカー。
その後部座席に乗る雛森は、いつも通りの穏やかな表情でグラウンドを眺めていた。
(続きます！)
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りゅちゃ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。ななみみさんの別作品のパスを教えて頂きたいのですが、可能でしょうか。あの、作品が好きで読み返したく‥急なお願いで申し訳無いのですが対応をお願いしたいです。 (9月3日 11時) (
レス) id: 61ea5dd162 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。違う作品についてなのですが、藤原選手のお話しの作品のパスワードを教えて頂けないでしょうか？ (2023年3月8日 9時) (レス) id: 4c67bf8e9f (このIDを非表示/違反報告)
影夜(プロフ) - コメント失礼します！ 違う作品についてなんですけども藤原選手のカップリングの話でパスワードがついてて、パスワードって教えて貰えることでできますか？たまに読み返ししたいと思ったりすることがあって (2023年1月4日 23時) (レス) id: dd37505a65 (このIDを非表示/違反報告)
ななみみ(プロフ) - 鷹loveさん» なんともったいないお言葉…ありがとうございます(泣) これからも更新頑張りますので、読んでくださると嬉しいです！ (2021年8月28日 16時) (レス) id: 59ae33563f (このIDを非表示/違反報告)
鷹love - 凄く可愛くて､癒やされます！この作品を読むと…疲れが吹っ飛びます！これからも楽しみにしています！ (2021年8月28日 11時) (レス) id: aca5255b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななみみ | 作成日時：2021年8月10日 21時
