Small Shot!!

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心を開く5秒前 JN ページ1

「Aこれお願い」

渡された書類を受け取り目を通す

隣の部署の中間さんは、うちの部署に用事がある度私を指名して依頼をする
女性人気の高い彼と絡むことは何かと不都合も生じて
ほら今だって痛い程の視線、気づいてます？

『…中間さん』

「んー？」

『…こういうのはちょっと、困り、ます』

ホッチキス止めされた資料の最後のページに貼られた付箋を剥がし、眉を下げる私に

「これもちがうんかあ、Aは手強いなあ」

まあとりあえずそれお願いなと資料を指さし、自分の部署に帰っていく中間さんの背中を見送った

今日の付箋は《イタリアンは？》か

ほんの1ヶ月前から少しずつ増えている黄色い付箋
最初のは確か《美味しいパスタのお店知ってんねんけど、ランチ一緒にどう？》だっけ
すぐにその場で断ったら次来た付箋は《じゃあ中華は？》だったんだよね

最近何故か気に入られている、と思う
わざわざ私にだけ頼みに来ることも、毎回のお誘いも。そう勘違いしてしまうには十分な材料だ。

本当なら中間さんに気に入られていることを両手放しで喜ぶべきなんだろうけど、私にはそうできない理由がある。

別に大したことじゃないけど。昔付き合ってた彼氏に二股されてた、ただそれだけ。そして私は遊びの方だった、それ、だけ。
そしてその彼は少し顔が良くてモテる方だった。そうそれだけのこと。

だからかっこいい人は信用出来ない、こんなのただの八つ当たりだし偏見だけど
男の人は何考えてるのかわかんないから。
中間さんだってたまたま目に付いた私で遊んでるだけなんだ。絶対。