君はハエを呼ぶ ページ4
キーンコーンカーンコーン
昼ご飯のチャイムが鳴った。
皆は一斉に机をくっつけ、弁当を食べ始める。
俺はいつもは翔平と慎と空き教室で食ってるが今日は違う。
隣のコイツと食べるのだ。
そう決めて、隣のAに話しかける。
北人「ねえ___」
ガタッ____
すると彼女は椅子から立ち上がって弁当を置いてどこかへ行ってしまった。
北人「チッ」
思わず舌打ちを鳴らして、メロンパンを片手に頬杖をつく。
女子A「ねえ、やっぱ今日北人くん1人だよ！」
女子B「ほんとうだ!一緒に食べてくれるかなぁ？」
女子C「行ってみようよ!」
そんな中、女子がざわめく声がする。
視界の端からちょこまかとやってきた芋三人組の女。
抱いてもねえのに調子こきやがって。
女子B「北人くーん。」
すると、女子３人は隣のあの子の弁当を避けながら、椅子や机に座る。
北人「なぁに？」
そう優しく問いかけると、芋三人はウジウジしながら、こう言った。
女子C「私たちとお昼食べない？」
ああ本当、こういう奴らが一番嫌いだなぁ。
一眼もはばからず、媚び売る女。
北人「ごめん、無理」
だいぶ気持ち抑えめで断ると、芋三人は気まずそうにした。
女子A「そっか。じゃあまたね。」
と言うとハエのようにブンブンどこかへ飛んでいった。
「はぁ〜やっと食べれる。」
北人「っ！」
ハエたちの後ろにいたのか知らないが、ふぁさぁっと音もなく舞い降りてきたこの女。
思わず俺も机を揺らすほど驚く。
「あっ！もしかして吉野くんがどかしてくれたの？ありがとうっ。」
北人「名前覚えてんじゃねえか。」
感謝される意味も分からないし、俺のこと知ってたのかよと情報量が多い。
「そりゃ、お隣さんだもん。食べよっーと。」
あっ、ちげえ。俺、この子を落とすんだ。
北人「ねえ？あのさ、」
「なぁに？」
今日は昨日みたいに突き放すような言葉はなかった。
彼女は優しくこちらを見た。
北人「ご飯2人きりで食べない？」
「今度は恐がらずに言えたね。」
北人「ん、？」
「でも、ごめんね。私、一眼もはばからずに誘ってくる人嫌いなの。ふふっ。」
北人「あっ….」
また負けた….そう純粋に思ってしまった昼過ぎ。
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作者名：ZEA | 作成日時：2022年1月5日 0時
