⑭ダンボール戦機Ｗ -Ver.M.- ～断絶希～ (ページ36)

今日:25 hit、昨日:4 hit、合計:22,043 hit

仲間、独りページ36

＝アルテミス会場裏：海岸＝

「―――ンさん、ジンさん！」

「おーいジン！起きろよーっ！！」

身体を揺すられ、宙を漂っていた意識は痛みと共に現実に戻ってきた。

目を開けばヒロとアスカが自分を揺すっている。

「…ヒロ…アスカ…」

かすれた声でジンは名前を呼ぶ。

二人は安堵の表情を浮かべ、よかった、と顔を見合わせた。

バンから連絡を受け、街を探していたヒロとアスカはすぐにリニアに乗り込み、

一番にアルテミス会場裏の海岸に着いたのだった。

「ジンさん、どうしたんですか、ボロボロですよ。

　トリトーンだって、…まさか、独りで何かと戦ったりしてないでしょうね！？」

図星だったジンは黙り込み、やがて口を開いた。

「リュウンのＣＣＭは…」

「それならちゃんとカルデラ・ＫがＮＩＣＳに持って帰ったってバンが言ってたぜ！」

アスカが答えると、ジンは息をつき、続けた。

「そうか…なら、よかった…」

ヒロがジンを抱え起こしたところで、「おーいっ！！」と声がする。

バン、ユウヤ、ラン、ジェシカが砂を踏んで駆け寄ってきていた。

「ジン君！？ボロボロじゃん！！」

ユウヤがジンに飛びつき、心配な表情。

心配ならなおさら飛びついたりしたらダメよ、とジェシカに言われて

ユウヤはシュンとなる。

「ジン、何があったの」

バンが尋ねると、ジンは初めから全て話した。

「リュウンのＣＣＭをハッキングしてきたヤツの正体が掴めなければ

　対応のしようがない…だから僕は、リュウンのＣＣＭを持って、

　一人でここに来た。ロックがかかってハッキングが不可能になってしまったことを

　知った相手が、直接このＣＣＭを盗りに来るだろうと思ったんだ」

「…つまり、誘き出して正体を掴もうとしたって事！？

　何で独りで行ったの！？」

ランが憤るが、ジンは首を横に振った。

「あまり大人数がいれば、相手にとってチャンスでないだろう。

　僕一人しかいなければ、敵が奪い取るには絶好のチャンスだと思ったからだ」

ジンは言い切ってランを黙らせる。

ランは黙ることには黙ったが、不満げな表情だ。

アスカが訊いた。

「…んで、肝心の“敵”ってのはどうだったんだよ？」