⑭ダンボール戦機Ｗ -Ver.M.- ～断絶希～ (ページ24)

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三分の、残りページ24

ユウヤは少しの間だけだったが情報系の専門学校に通っていたため、

海道財閥にいた頃でもパソコンなどの異常事態はすべてユウヤに任せていた。

眠っていたユウヤはジンが揺するとすぐに目を覚まし、

ＣＣＭを手にとっていろいろ操作をはじめた。

扱うのはユウヤだったから、ジンの手を離れたことによって

データが消える心配は要らなかった。

「…ユウヤ…これは」

「リュウンちゃんの技術を全部この中から奪い去る気だよ。

　コピーじゃなくて、データの移動…つまり、こっちのデータを

　すべて削除しようとしてるんだ」

「僕らの手元に残さない気か…どうにかなるか？」

「待って、もう少し…相手の情報が掴めない」

ユウヤの指がタッチパネル上を滑り、ＣＣＭの中の情報を統べる。

ある場所でユウヤは数字の流れを切断し、そのままロックをかけた。

「その場しのぎでハッキングは中断したよ…ただ、既に三分の一が消されている」

「では残りの三分の二を守らなければならない」

「分かってるよ。ちゃんと残りはロックシステムの奥底に沈めたから。

　…なんでリュウンちゃんのＣＣＭにハッキングが…」

ユウヤはそう言ってジンにメタルブラックのＣＣＭを返す。

朝飯前とはまさにこういう事なんじゃないかと、ジンは感心した。

「リュウンちゃんのことを知ってる人しか、

　ＣＣＭにアクセスできないんじゃないのかな…」

「そうとは限らないよ」

バンの予測に、ユウヤは首を振った。

「一定範囲内の機械をすべてハッキングとか、そういうことも出来るからね」

「どちらにしろ、ハッキングしてきた相手が誰なのかが問題だ」

ジンはそう言ってメタルブラックのＣＣＭを見つめる。

沈黙したＣＣＭは電源をおとし、外部からの干渉を一切遮断していた。

「もうすぐＮＩＣＳだよね」

ユウヤはそう言って立ち上がる。

「ＮＩＣＳでコンピュータを借りた方が早いと思う。それまで電源は入れないで」

「分かった」

ユウヤの指示にジンは頷き、バンはみんなを起こしてまわる。

もうすぐＮＩＣＳに帰還だ。