⑨ダンボール戦機Ｗ～裏束縛～ (ページ12)

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サヨナラページ12

居ない、居ない…さっきから、ずっと。

嫌な予感がするのだ。

ＣＣＭに電話をかけても、「現在使われていない」とアナウンスが流れる。

メールを送っても、「宛て所がありません」と表示される。

代わりに別のメールが一件。

発信元は、全く知らないところから。

ただ一言。

［サヨナラ］

誰だか分からないから余計に不安が募る。

だがリュウンちゃんが居ないとなれば、ジン君やラキア君が黙っていないはずだ。

…そういえば、アルテミスの前日から、ラキア君見てないな…。

「ねえバン君、ジン君」

自販機の前でジュースを買っていた二人を呼び止めて、僕は訊いた。

「リュウンちゃん、知らない？」

それが、禁断の問いかけだったと言うことを知らずに…。

ハッとジンが息を呑む音がした。

ユウヤが頭に「？」を浮かべて返答を待っている。

ジン、この話はツライだろうな。

「ユウヤ、ちょっと二人で話ｓ」

俺が遮ろうとしたその時だった。

「…バン君…僕が全部話す…バン君も、聞いてくれ」

「―――、居ない」

ジン君が、一度も、リュウンちゃんの名前を出さずに全てを話した。

それによって僕は事の重大さを知ることとなったのだ。

「…リュウンちゃんが一人になった後は、必ず何か起こるよね」

危機感ありまくりのユウヤ。

「仕方ないよ。今僕たちが出来ることは、もう一度リュウンちゃんをこっちに引き戻すことぐらいだ」

早くアルテミスを終わらせなくちゃ、とユウヤは言った。

［サヨナラ］メールがリュウンのモノだと言うことも発覚。

少なくともその場三人のＣＣＭには、同じメールが来ていた。

「早く捜さないと、…危ない気がするんだ」

バンが言った。

「失いたくないって…そういったのなら、もしかしたら俺達は失われようとしてたのかもしれないから」

「命の危険に僕たちがさらされていた、とか？もしかして、僕たちは生きた人質にとられちゃってたとか…そんなかもしれないね」

「僕たちは、まだ何も遭っていない…護られたのかもしれない」

「とにかく、リュウンちゃんの安否が確認できない今、早くアルテミス終わらせて捜さないといけないよ」

三人は頷き、アルテミスを速攻で決着づけることで意思をまとめた。