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つむぎが眠ってしまってすぐにホンゴウがそれに気づいた。
一緒に話していた男、赤髪海賊団の大頭、赤髪のシャンクスは初めてつむぎの姿を見た。
｢やっぱり寝ちまったか。話をするので我慢してたんだろうな。｣
ベックマンの膝の上で気持ちよさそうに寝入っているつむぎ。
ホンゴウは医務室のベッドに寝かせてやれと言うとベックマンはすぐに移動させた。
幼さの残るつむぎの寝顔。
｢随分若いな。｣
｢少し話があるんだ。本人の前だと嫌がると思って言わなかったんだが……｣
つむぎには悪いが、完全に理由を隠す訳には行かない。
つむぎの状況を話した。
シャンクスはそれを黙って聞いていた。
｢あんなに酷いものは、俺ァ初めて見た。見た感じ1度もちゃんとした治療もしていない。｣
｢いつ頃からかは分かったか？｣
｢…………恐らく物心ついた頃には。多いのは煙草の火を押し付けられた痕だ。何度も何度も押し付けられて爛れている部分もあった。｣
落ち着いて眠っているつむぎを3人は見た。
ホンゴウはつむぎの背中を見た時、悔しさと歯がゆさでいっぱいだった。
まだ20にもならない少女だが、長い間1人で苦しんできたと思うと。
｢家族を嫌っていた。実の両親から酷い扱いを受けていたのは確実だろう。｣
｢…………どのくらいかかりそうだ。｣
｢一生かかっても消えねぇよ。だが薬で薄くはしてやる。｣
｢………………まあ何かの縁だ。｣
そっとつむぎに近づいたシャンクスは近くに腰掛けた。
｢また船が騒がしくなるな。｣
｢……手ェ出すなよ頭。｣
そうベックマンに言われたシャンクスだった。
それからしばらくして部屋が片付いたとクルーの1人が報告にきたが、本人は既に医務室のベッドで眠ってしまっていて、今日はここで寝かせ、ホンゴウが付き添った。
その夜、目を覚ましたつむぎは一瞬困惑したが眠ってしまうまでの事を思い出した。
元の世界じゃない事にガッカリしたが、ホンゴウが近くに居ることを知って少しほっとした。
まだ起きるには早いが、寝付けない。
ベッドから降りてブカブカの靴を履くと、ホンゴウを起こしてしまった。
｢なんだ起きたのか……まだ夜だぜ？｣
｢……海がみたい…………｣
｢…………夜の海は冷えるからこれ羽織っとけ。｣
渡された羽織は大きくて、そして暖かかった。
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作者名：こゆん | 作成日時：2022年9月2日 19時
