… ページ24
やっと絞り出した声は震えていて、すぐ近くに感じる2人の前で顔をあげたらきっと止まらなくなる。
苦しいくらいの嗚咽を声を押し殺していたせいかズキズキと痛む頭。
目の前に転がるスプーンを今度は握って顔を背けるように、見せないように立ち上がった。
｢つむぎ！………大丈夫な訳がないだろ！どうしたっ｣
ホンゴウに腕を捕まれ逃げようにも逃げられなくなった。
あぁ、また迷惑を掛けてしまう、嫌われてしまう。
嫌だな…嫌われるのは。
嫌だな…
ゆっくりと振り向いて2人を見た瞬間、さらに大粒の涙がポロポロと落ちた。
｢…つむぎ｣
｢……ホンゴウ…さんっ…………私っ｣
今まで見たことも無いつむぎの悲しそうで辛そうな顔はホンゴウとベックマンも息を飲んだ。
2人とも何故つむぎが泣いているのか何となく理解した。
｢っ……私…何かしましたかっ……皆の気に障るようなことっ…｣
｢違う！つむぎ…違うんだ………｣
ホンゴウはどう説明したらいいのか分からなかった。
その隣でベックマンさえバツの悪そうな顔だ。
｢みんな優しくてっ……いつも気遣ってくれてて………初めてだったっ…だからっ……もう迷惑掛けないから…わがままも言わないからっ…ここにっ……｣
ここに居たい。
つむぎのその言葉は2人の心に深くつきささった。
｢悪かった……つむぎ。ちゃんと話すから……｣
｢…っ………もうっ………………1人になりたくないっ……｣
｢分かってる。…………すまねェ……………つむぎ。｣
その後ずっと泣いていたつむぎは、疲れて眠ってしまった。
ベックマンがつむぎを部屋に寝かせすぐにシャンクスの部屋に向かった。
｢………………そうか…｣
事の全てを話し終え、シャンクスはただそれだけを言った。
｢つむぎが顔を特別視してたのは今に始まったことじゃねェ。今更距離を置いたって、つむぎを悲しませるだけだ。｣
｢だから言っただろ、そんな事しても意味ねぇってよ。｣
さらに追い打ちをかけるようにベックマンとホンゴウ。
何故今回つむぎを悲しませることになったのか、それはシャンクスとつむぎが一緒に出かけた日に遡る。
あの日つむぎが船に戻りたいと言った時、疲れただけじゃないとシャンクスは気づいていた。
つむぎはまだ未成年で、20以上歳が離れている。
それを考慮して、距離を置こうとしていた。
シャンクスの中でもまたつむぎは特別な存在になっていたのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆん | 作成日時：2022年9月2日 19時
