1ー3【偉大なる航路】 ページ19
「すごいっ…!」
柄にもなく目を輝かせ船の上から身を乗り出した。
そこは本当に大きな島で、見たことも無い大きな葉っぱや動物がたくさんいた。
まるで動物園で動物が放し飼いされているような感じだった。
「あんまり乗り出すと落ちるだろ?」
「シャンクスさん!この島はなんて言う島なんですか?」
そう聞くつむぎにシャンクスは少し不機嫌そうになった。
「熱で魘されていた時は呼び捨てだっただろう。」
「……呼び捨てで…………いいんですか?」
「当たり前だ。」
そう言ってつむぎの頭に手を置いた。
恥ずかしそうに分かったと言うつむぎを見て直ぐにシャンクスの機嫌はなおる。
それを見ていたホンゴウはやれやれと言った顔で腕を組んでいた。
「頭。あんまり遅くなるなよ。」
「あぁ、時間までには帰るさ。病み上がりのつむぎを連れ回すのも良くないからな。」
「私は大丈夫ですけど。」
「そう言ってまた熱でも出たらどうするんだ。」
「………うぅ…」
「ベック、大丈夫だろう。俺がちゃんと見てるからな。」
ベックマンも心配で言っているのだ。
もちろんつむぎはそれを理解している。
だからあんまりわがままは言えないとシュンとするが、シャンクスはつむぎを甘やかす気満々という感じだ。
「つむぎ、少しでも具合が悪くなったり疲れたりしたら直ぐに顔に頼れよ。お前は無理するからな。」
「……うぃ…………」
「ははっ!またそれか!」
「っ!」
どうもホンゴウの前では気が抜けるつむぎらしい。
それもそうだ、何せここに来た時からホンゴウは最初から身体を気にかけてくれている。
家族のことだってホンゴウやベックマンに言えたのは、それは何処かで信頼に値すると確信をもったから。
きっと過去の事をシャンクスにだって話しているだろう。
じゃなかったら私がこの船に乗っていられるはずがない。
他のクルー達が知っているかは分からないが、皆いつも親切で、この数日間誰よりも甘やかされた自信がある。
「そろそろ行こうか。まずは服だな。」
船を降りていくシャンクスの後ろを追いかけるつむぎ。
降りたところで待っているシャンクスの左側に立って一緒に町まで歩くが、少し不安になってきたつむぎ。
知らない場所では何があるか分からない。
つむぎは無意識にシャンクスの服を掴んだ。
そんな不安そうな顔のつむぎにシャンクスも大丈夫かと気にかける。
「大丈夫だ。あまり心配するな。」
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作者名:こゆん | 作成日時:2022年9月2日 19時