緑の朽葉が笑うとき (ページ10)

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朽葉が6枚ページ10

『社長、シクファさんまで歩けます？パーキング近い所に無くて5分程あるんですけど』

会計を終え、店員さんに言伝を頼んだ頃には社長は完全に寝入っていた。

『…………はぁ』

僕は覚悟を決めて社長を担ぎました。社長もこんなことをされるのは嫌でしょうが仕方ありません。車内に荷物を置いてきて正解でしたね。まぁ、こんなに大きな荷物を持ち帰るとは思いませんでしたけど。もう少し自立してくれると思ってましたけど。
通行人の好奇の目に耐えシクファさんの助手席に社長を放り込んだ。少々手荒だったのはご愛嬌。決して、手が痺れて落とした訳ではありませんよ？決して。
社長にシートベルトをしてから運転席に戻りエンジンをかけシクファさんを発進させる。この後の配信どうしましょうか？もうすぐ2時を回りますし社長を送ってからだと開始は3時ごろですかね？そんな事を考えていると隣の社長が身動ぎした。

『………起きました？』

一応声をかけるが返事がない。まだ寝てるんですかね？そういえば酔っ払い"引き取り屋”について詳しく聞きませんでした。なんなんでしょうあのふざけた名前。意味が分かりません。確かに今まで何度か交通手段のなくなった社長を家まで送り届けることはありましたが。普通に僕の名前じゃダメだったのでしょうか？解せぬ。

「……………………新留君」

『どうしました？気分が悪くなりましたか？車停めます？』

「………いえ、そうでなくて」

『……？そうですか？それなら良かったです。もし気分が悪くなったりしたらすぐに言って下さい。車停めますから』

一体どうしたんでしょうか？信号待ちで何気なく助手席に目を向けると社長とガッツリと目が合いました。

「自分は！」

『へっ？』

「自分は待ちます。待てます。いつまでも。新留君が本当に望むのであれば、給与だって!!!!!!」

『いや、いきなり何を言い出すんです？まだ酔い抜けてない感じ？』

「そうじゃなくて……さっきの本心ですから…」

『さっきって"何時になったら自分だけのに〜”ってやつです？』

「それ以外あります？」

『え〜〜〜〜〜〜』

こんなこと言い出すもんだからドン引きしてしまいました。この場合僕には1ミリも非が無いと思うんです。

「え〜〜〜〜〜〜じゃなくて！」

『この状況で引かない人がいたら会ってみたいんですけど』

「それはそう」

『何がしたいんですか…結局。ほら、もう着きますよ。降りる準備して下さい。』

「…………………」