緑の朽葉が笑うとき (ページ22)

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「随分なお口ですね？」

声の主は電話の中。爽やかだがやや低めのしっかりとした先輩とは別の耳障りの良さを持った声。しかし明らかにこちらも怒気を含んでいる。先輩が奪い取られる前、スピーカーフォンに設定したらしく会話が丸聞こえだ。おっさんは俺たちに話を聞かれるまいと必死で電話口を塞ごうとしているがあまり意味は無さそうだ。さらに話が進んでいくとおっさんの顔は、本当に人間か？と疑いたくなるほどに青ざめ最終的には絶望以外の全てを吸い取られたかのようにその場に座り込んでしまった。
床に放り出された携帯を拾い上げた先輩は再度電話の相手にお礼を述べ電話を切った。

『玄関口まで御一緒しましょうか？』

おっさんはガタガタ震えつつも

「ﾀﾋねっ！クソ野郎っ！」

と何も持たずに吐き捨てて出て行ってしまった。もう二度と俺たちの前に現れないで欲しい。部下が大急ぎで荷物をまとめ、ぺこりと頭を下げた。

「ほっほんとに申し訳ありませんでしたっ」

おい、おっさん。部下の方が礼儀正しいぞ。習ってこい。