緑の朽葉が笑うとき (ページ17)

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『……………？』

弾丸3社連続外回りをどうにか終わらせ帰社途中にあるコンビニで昼食の調達を後輩組の2人に頼み先程とは別の取引先に納品確認メールの書面を作成していると後ろから声をかけられたような気がしました。しかし、振り返って見ても周りを見回してもそれらしきものは見えません。

『……空耳でしょうか？』

「何がですか！」

『！犬条くん』

「はいっ！新留先輩の犬条です！」

元気よく僕に声をかけてきたのは後輩三人衆の1人、イヌ。こと犬条晴明 (けんじょうはるあき)くん。陽だまり色の髪を揺らしながら僕に飛び付いてくる姿はさながらゴールデンレトリバーですね。ただ身長差はもう少しだけ考えて欲しいですかね…僕ならまだしも他の2人に同じ事をしたら殴り飛ばされてしまいそうです。一応指導？をしておきましょうか。

『犬条くん、僕相手にするのは構いませんがあの2人に同じ事をしたら反撃されてしまいますよ』

「大丈夫です！顔は殴られたことありませんから！」

『…………顔以外は殴られたんですか？』

「ん〜〜？どっちかと言うと脛を蹴られました！」

なるべく諭すように言ってみましたがあまり意味はなさそうですね………まぁ、犬猫の子は同年代でじゃれあって社会性を身に付けるそうですし。僕がわざわざ首を突っ込むことではなさそうですね。

「それより先輩聞いてください！俺の愛する推し達の限定ラバーマスコット付きペットボトル売り切れてたんですよっ！朝からもう3軒もコンビニ周ったのにっ！ひとつもないんです！」

『それで朝からいつもより元気が無かったんですね……』

「そうなんです〜〜〜あﾞぁァァァァァ”ァ無理こんなことぐらいでしか推しに貢献出来ないのにぃぃぃ」

う〜んどうしましょう。呻きながらもスマホをリズムよくタップしている犬条くん。きっと前にハマっていると教えてくださったリズムゲームをプレイなさっているのでしょうね。犬条くんは仕事はその気になればものすごく出来るのですが気分による浮き沈みが激しいんですよね。困りました。ですが現状、無いものは無いのでどうすることも出来ませんし…