第二話 ＊ ページ3
そうなのだ。困ったことにもうすぐ資金が底をつく。確かに若干、本当に若干、見通しが甘かったのかもしれない。でも、言い訳をさせてほしい。これでもかなりがんばった方だと。私が来るまでのユニットの財政は本当に悲惨なものだった。会場の貸し出し費用にスタッフの人件費、衣装も外部発注していたとなればあっという間に資金は底をつくに決まっている。衣装に関しては私が請け負うようになってからは多少出費は抑えられるようになったがそれでもライブを一度開催するにも莫大な資金が必要となるのだ。今までは何とか校内アルバイトや学校側から支給されている資金でやりくりしていたが正直限界だ。生徒会派と全面戦争となった今、これっぽっち(？)の資金や雀の涙ほどのアルバイト代ではどうやっても見劣りしてしまう。大体学校主催のイベント以外は学校の資金プラスアルファ個人投資OKなんてどうやっても勝てる未来が見えない。アイドルは目を引いてなんぼの商売だ。衣装もステージも目立てば目立つほどいい………とも言えないがやっぱり客目を引くにはそれなりのものを使ったほうがいい。
あんず「どうしよう…お金のやりくり何てプロデューサーの一番の腕の見せ所のはずなのに…もう人件費とか衣装代とか削れそうなところは全部削ってるし…」
アイドル自身を飾る衣装には絶対妥協なんてできない。下手をすればステージ上で衣装が大破なんていうアイドル生命、消滅待ったなし！な大事件を引き起こしかねない。
ステージも同様だ。となればもう削れるのは人件費ぐらいだ。だがそれすらほぼ私だけで回しているのだから削れもしない。
あんず「どっかにアイドル大好きなパトロンがいればいいのに…」
？？？「ん〜？あんず、パントロン？ってやつが欲しいの？」
あんず「っ！あ、明星君！」
背後からいきなり声をかけてきたのは同じクラスでユニットのプロデュースも担当させてもらっている『Trickstar』の明星君だった。
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作者名：トラメルク | 作成日時：2022年10月24日 22時
