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自分のほっぺたが赤くなってるのが分かる。
しばらく抱き締められたまま固まってしまった。
助けてくれただけなのに意識しちゃう…。
恥ずかしい。
「も、もう大丈夫なので！」
『…ほんまかいな。』
「へ？」
あれ。
今の壱馬さん、方言で喋ってた…？
『行くぞ。』
「はい…！」
結局手は繋いだまま。
引っぱってゆっくり滑ってくれた。
過保護？
面倒見が良い？
やっぱり悪い人には見えない。
魔力が強すぎて追い出されて一人暮らし、かぁ…。
「魔法の氷って溶けないんですか？」
『溶けろと魔法をかけなければ溶けない。』
へぇ…。
「面白いですね。」
『変わってるなお前。』
「壱馬さんは意外と優しいです。」
『はっ？』
驚いた顔をしていた。
壱馬さん自身はあんまり分かってないのかもしれない。
「ちょっと休憩しませんか？」
『分かった。』
リビングに戻って先程のソファーに座る。
それから、いつの間にか壱馬さんに凭れて眠ってしまった。
「あ…、私寝ちゃってた…？」
壱馬さんはまだ寝ている。
寝顔を見ていたら、なんだか触れたくなった。
スケートしている間、ずっと手を繋いでいたことを思い出す。
手を握るとあったかい。
あ。
なんか落ち着くかも。
そのままもう一度眠ろうと壱馬さんに寄りかかったら…。
『積極的だな。』
意地悪そうにニヤニヤと笑われた。
わ。
わっ？！！？？
「起きてたんですかっ？！」
手を離そうとしたのに、ぎゅっと握ってきたから恥ずかしさが増す。
そっと抱き締められた。
『ほら。血吸えよ？』
「…っ。」
低い声で促された。
「壱馬さんってハグがお好きなんですね…。」
『うるさい。』
照れすぎてちょっと茶化してしまった。
表情は見えなかったけどきっと笑ってくれてる。
遠慮がちに、抱き締め返す。
それからそっと牙を立てた。
『ｯ…！』
「美味しいです。」
血の香りがすごく良い。
一口だけでも、結構満たされるけど。
唇を押し当ててキツめに吸った。
「ごちそうさまでした。」
ハァっと息を吸い込むと血の後味がしてそれもまた良い。
優しく押し倒された。
「壱馬さん…。」
『そんな目で呼ぶな。』
…え？
『誘ってるように思われるぞ。』
「っ。」
『俺に何されても文句言えなくなる。』
壱馬さんの指が、私の唇に付いたままの血を拭う。
パチッと視線がぶつかるとまた意地悪そうに笑われた。
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作者名：If | 作成日時：2022年8月7日 8時
