検索窓
今日:24 hit、昨日:13 hit、合計:45,862 hit

北人 ページ17

「どなたか、いらっしゃいませんか?」


一声かけて足を踏み入れる。

たくさんのクモの巣と埃を見てすぐに無人だと分かった。

ちょっとホラーチックではあるが、行き先もないので隅の方で座る。


「広いお家だな…。」


月明かりが室内を照らしている。

高い天井を見上げて孤独を感じた。


泣き疲れた私は次第にうとうとし始め…。

上着を枕にして横になった。

膝を抱える。


「おやすみなさい…。」

『あれ寝ちゃうの?お話しようよ。』

「きゃっ?!??」


突然男性の声がした。

飛び起きて後退りする。


怖いくらい綺麗な男の人が現れた。


「あ、えっと。ごめんなさい…。勝手にお邪魔してしまって…!」

『僕も似たようなものだからいいよ。』

「そうなんですか…?」


どういうこと?


『人が来るなんていつぶりだろう?ふふ。』

「あはは…。」


って。

この人、よく見たら足が透けてる…!?


「幽霊?!いやぁぁぁあ」

『そうだよ。気付くの遅くない?』


いやいや。

無理。

ここから逃げなきゃ。


…って、体が動かない?!


『金縛りかけちゃった♡』

「…っ!ふ、…?!」


私の目の前にしゃがんだ幽霊さん。

じっとこちらを見てきた。


『あれ、目が腫れてるね。』


腫れて少し熱を持ったまぶたに手が近付く。


『あ、そういえば…実体が無いから触れないんだった。(笑)』

「…。」


ケラケラ笑う。


なんか楽しそうに話すなぁこの人。

さっきは、慰めようとしてくれたのかな?
 
悪い幽霊じゃなさそうかも…?


『僕は北人。君は?』

「…Aです。吸血一族の王女。」

『へえ〜。』


金縛りからは解放されたが、再度逃げ出そうとは思わなかった。

北人さんとお話してみたくなったから。

・→←・



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
261人がお気に入り
設定タグ:ランペ , 川村壱馬 , 吉野北人   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:If | 作成日時:2022年8月7日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。