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「待って、嫌…っ。」
痛い!
死にたくない!
「ぁぁ゛ッ…!」
陸さんの口が離れていった。
毒や唾液…私の血まで混ざったものが糸をひく。
それらを舌なめずりして拭う陸さんは妖艶な雰囲気を纏っていた。
噛まれた首が痛い。
毒に反応して既に腫れてきている感覚がする。
「やだ、死にたくない…っ!」
『全身が痺れて動けなくなる程度にしたから、死んだりしないよ。』
「…!」
いや、…。
それでも十分重症でしょ?!
「あ…ッ?」
『効いてきたね。』
腕に力が入らなくなった。
ガクッとバランスを崩しソファーに倒れ込む。
これはまずい…。
陸さんを睨み付けるが、怯む様子はなく逆に刺激してしまった。
『この状況を理解しててそんな顔してるなら、すごい度胸だね。』
「…。」
『正直そそるなぁ♡』
口が開けない。
言い返したいのに…。
『完全に脱力しちゃったね。うーん…体が小さいと効きも早いのかな。』
陸さんは、自分の持つ毒にあまり詳しくないような言動を続けていた。
それをただ眺める。
言われた通り痺れてきて動けなくなってしまった。
私を実験台にして、遊びたいの…?
もうまばたき位しか出来ないよ。
確実に今までで一番危ない王子。
陸さんが合図を出すと蛇たちは消えた。
『さて。』
…何されるんだろう。
お姫様抱っこされた。
蚊帳のついた大きなベッドの上へ。
うわ、どうしよう。
『毒が抜けるまでいたずらしちゃお〜。』
嬉々とした表情が目に映る。
陸さんは隣に寝転んだ。
それから私をぎゅっと抱きしめた。
痺れて動かない体なのに、触れられている感覚はしっかりある。
初めての感覚。
気持ちが悪い。
「…っ。」
『痛いことはしないから、安心してよ。』
服の下に滑り込んだ生ぬるい手のせいで、ゾワっと鳥肌が立った。
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作者名:If | 作成日時:2022年8月7日 8時