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そういえば前に聞いた気がする
今年は一瀬家の子女がこの第一渋谷高校に入学する、と

一瀬家とは、『帝ノ月』率いる宗教組織である
私たちが所属する『帝ノ鬼』との仲は非常に悪い

もちろん規模は圧倒的にこちらの方が多いため、彼らも表立って逆らいはしない
心の内では、色々と思うことがあるだろうが

私はそこの次期当主候補、一瀬グレンらしき人物を観察する

ごく緩やかなウェーブがかっている黒髪に、紫の少しだけ冷たい瞳
男前な顔立ちだ

……それなりに強そうだなぁ

なんてことを考えていると、彼に誰かがコーラを投げつけた
それは彼の頭にぶつかった

フタが開いていたようで、頭からコーラを被ってしまう

うわぁ、可哀想に
彼らも大変だなぁ

そんなことを呑気に考えていると、私の後ろにいた唯が彼らへ近づく
引き止めようとしたが、遅かった

「あなたたち、こんなことをして恥ずかしくないのですか⁉」

突然の彼女の登場に、他の生徒たちがどよめく

私は思わず右手で額を抑えた
俊も表情を硬くしている

……正義感が強いのは彼女の美点でもあるけれど、時と場合も考えてほしいなぁ

「なんだよあいつ」

「一瀬の奴らを庇うのか?」

「あいつも少し懲らしめてやろうぜ」

どんどん雲行きが怪しくなる
これだから勝手な行動はやめてほしいのだ

今度は彼女にコーラを投げつけられる

どれだけコーラがあるんだよ
という突っ込みを飲み込んで、私は動いた

隠し持っていたナイフを投げる

ナイフは見事ペットボトルに命中し、そのまま粉砕した
一瞬の静寂が訪れる

そして私はそれが飛んできた方へ、にっこりと微笑みを向けた

先ほどまで嘲笑、罵声していた奴らの表情が引き攣る
そんな彼らに言ってやる

「こんな馬鹿なことしてないで、早く学校に向かったら?」

すると彼らはそそくさと学校へと向かい始める
私はそれに大きく溜息を吐いた後、グレンの方へと視線を向けた

彼と目が合う

彼の瞳には、明らかに私に対する嫌悪が宿っていた
私はその瞳を見て、笑みを深める

「ああ、なるほど。そういうことね」

「……えっと、何か……?」

彼は困ったように笑う
今更取り繕っても遅いよ

「演技の邪魔をして悪かったね」

すると一瞬、彼の瞳が見開かれた
私はそれに笑う

「あはは、そういうのを表に出しちゃ駄目だよ。勘のいい奴はすぐに気づくから」

そして私は、校門の方へと視線を向けた
するとそこには、一人の美青年が立っていた

03→←嫌われ者の入学



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もちもち - 依鶴さん» コメントありがとうございます!ご期待に添えれるかはわかりませんが、頑張ります! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
依鶴 - プロローグから惹き込まれました!とても楽しみにしてます! (2017年2月24日 16時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2017年2月22日 14時

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