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深夜side
「一年九組・暁A。前へ」
その言葉を聞き、僕は試合場の方へと視線を移した
試合場には僕の友人のAと、彼の従者が立っていた
暁A
名家、暁家の現当主だ
同じクラスで、それなりに仲もいい
まあ、無理やり親しくしたんだけど
実力も相当なものだと聞いている
何せ、あの義父様、柊天利のお気に入りなのだから
そこで、監督官が言った
「始め!」
刹那、二人は動き出す
その動きは速かった
数秒の間で、甲高い金属音が何回も鳴り響く
「……へぇ」
想像以上だった
彼の従者もかなり優秀だ
名家にこんな優秀な人物がいるなんて、柊家はしばらくは安泰だね
「何が起こってんのかがわかんねぇ……」
隣にいた五士も、ぽかんと口を開けている
彼の言う通り、ほとんどの人物は状況を把握できていないだろう
それほど、二人は優秀だった
その時、恐ろしいほどの殺気を感じた
思わず僕は身を強張らせた
あれを間近で感じるのは、相当なストレスだろう
次の瞬間、ガンッという異様な音が聞こえた
刀が宙を舞うのを見て、先ほどのは刀を弾いた音だと初めて気付く
……刀って、あんな音が鳴るの?
刀が、地面に突き刺さる
それと同時、彼は従者へと刀を突きつける
しばらくの間の後、監督官が言った
「勝者・暁A‼」
辺りに歓声が鳴り響く
その中で一人、考える
僕はあの二人に勝てるか?
従者は勝てるだろう
あの程度なら、僕でもついていける
しかし、Aはどうだろう?
まだだいぶ余裕を残しているようだった
本当はどれほど実力があるのか、まだわからない
「うーん、もしかしたら負けちゃうかもなぁ」
いつもの笑みを浮かべ、呟く
Aのほうを見ると、もう一人の従者と合流しているところだった
どうやらもう帰ってしまうらしい
僕の視線に気づいたのか、彼はこちらを振り向く
僕はそれに手を振ると、彼は手を振ってくれた
そしてすぐ、背を向けてしまった
僕はその後ろ姿を、なんとなく眺めていた
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もちもち - 依鶴さん» コメントありがとうございます!ご期待に添えれるかはわかりませんが、頑張ります! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
依鶴 - プロローグから惹き込まれました!とても楽しみにしてます! (2017年2月24日 16時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2017年2月22日 14時