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ひとしきり笑った後、美十ちゃんに言う

「はー、笑った笑った。僕のことは気にせず、続けて」

「……まあいいです。あなたにも関係ありますし」

どうやら私にも関係があるらしい
いったい何の話だろう

「それに、無知な一瀬家の人間に、これ以上自己紹介しようとは思いません」

「そうか。まあ、おまえがアイドル志望だってことだけは……」

「だから違うと言ってるでしょう!」

と、美十ちゃんが叫んだ
それも今度は、それなりに騒がしい講堂の中でも、一際響くくらいの大きさで

それで校長の言葉が止まる
一斉に視線が集まる

それに美十ちゃんは顔を真っ赤にして、

「あ、あ、あの、失礼いたしました。続けてください」

と、か細い声で言った

そしてそれで、校長が話を再開させる

他の生徒たちも、すぐに顔を背けた
彼女が十条家の人間だとわかったからだ

それほど、十条家というのは有名な、力を持った家だった

美十ちゃんは恥ずかしそうに小さくなっている
その彼女を慰めるように、私は言う

「はは、良かったね。一瞬アイドルみたいに注目が集まっ……」

「暁家の当主だからと言って、調子に乗らないでくださります?」

私は美十ちゃんに、一瞬だけ冷たい視線を送る
すると彼女は顔を青くさせ、硬直してしまう

そんな顔するんだったら、くだらないことを言わなければいいのに

「あ、あの……」

「もう、酷いなぁ。調子になんて乗ってないよー」

彼女が何かを言う前に、いつもの調子で言う

私の反応を見て、彼女は安心したように息を吐いた
グレンはと言うと、値踏みするような目で私を見つめていた

「で、話って?」

「……私が聞きたかったのは、柊深夜様のことです」

彼女の言葉に、私とグレンは顔を見合わせた

十条家は柊家の者を護衛することが多い

柊深夜と一瀬家の者が親しく話しているのは、いったいどういう状況なのか、把握しておきたい、というところだろう

うわぁ、面倒なことになった

とりあえずグレンに任せよう
彼に合わしとけば何とかなるだろう

そう思い、私は再度グレンを見つめた

03→←『十条家』の子女



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もちもち - 依鶴さん» コメントありがとうございます!ご期待に添えれるかはわかりませんが、頑張ります! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
依鶴 - プロローグから惹き込まれました!とても楽しみにしてます! (2017年2月24日 16時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2017年2月22日 14時

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