115.教えて ページ21
『痛っ』
「ごめん…少しだけ我慢してね」
自室に連れてきたひとらんは氷嚢を作って戻ってきてぶつけた箇所に当ててくれた。そのまま後ろから抱きしめられる。まるで繋ぎ止めるかのように。
『ひとらん、そこまでしなくても何処かに行かないから大丈夫だよ』
「でも、またいつああいう奴らが来るかわからないから」
あの時動けなくてごめん、と落ち込んだ様子のひとらんは肩にぽすんと顔を埋める。何だか可愛い姿に頭を優しく撫でてあげた。
『あの時はまだ業者なのかそうじゃないのか怪しかったから、仕方ないよ』
「…ありがとう」
撫でられて嬉しいのかぐりぐり顔を寄せるひとらん。珍しくデレてるな、なんて思いながらぼんやりと先程のことを考えた。
『…さっきの人達は研究所の人なのかな』
「多分。でも、オスマンが何とかしてくれてるから大丈夫」
『…あの、さ』
ずっと目を逸らしていた疑問を、ゆっくりひとらんにぶつけてみる。
『…私が初めて人のグルッペンと出会った時、強盗に襲われたでしょ？』
「うん」
『…その人って、そのあとどうなったの？』
あの時は確かオスマンとトントンに任せて私を横抱きにして運んだはずだ。その先を私は知らない。
それだけじゃない。
私のトラウマとなった夢香ちゃん。あの子は私が腹痛で動けなくなった次の日から全くと言っていいほど姿を見ていない。
『…ねぇひとらん』
教えて。お願い。
真っ直ぐに彼の瞳を見つめるが、彼は目を伏せてお腹に腕を回し、抱きしめるだけで何も言わない。
「…ごめん。Aにだけは言えない」
皆との約束だから。
そう頑なに口を結んだひとらんに折れて、私はわかったと言って彼の方にもたれかかった。
「まあ聞いたら後悔するのはAちゃんやで」
「おかえりオスマン」
オスマンは部屋に入ってくると私の前に膝をついてそっと頬に触れる。2、3回撫でた後、その手は唇へと滑りぷにぷにと遊び始めた。
『んむ、なに？』
「んー？ご褒美欲しいなぁ思って」
「オスマン…」
柔らかそうやなぁと笑うオスマンに、彼にやめなとよ苦言を呈するひとらん。その2人に挟まれたまま、私はいいよと髪を上げた。
『血でもいい？』
「えっ」
「A、いいの？」
『今更だし、式が近いからとった方がいいのかなと』
要らなかった？と聞けば彼は首を横に振ってから微笑み、そしてゆっくり鎖骨に顔を寄せた。
プツリ、と肌を牙が貫く音がして、啜る音に私はそっと目を閉じた。
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黒瀬(プロフ) - 小雨さん» ありがとうございます！この後の展開をどうするかで悩んでかなり遅くなってます。申し訳ありません！ (2020年7月26日 16時) (
レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - まさかniさんが人外やったとは…これからの展開凄く楽しみです！体調を崩さない程度に更新頑張ってください！ (2020年7月26日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 調味料さん» 久しぶりのコメントありがとうございます！出したいなぁ、と思ってたので無事出せて良かったです^^ (2020年6月27日 9時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
調味料 - 久しぶりにコメント失礼しまぁす。^r.a^な人外さんが出ててめっちゃ嬉しかったです、ありがとうございます(土下座)これからも更新頑張ってください〜 (2020年6月25日 21時) (レス) id: 06d5180623 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - わたあめ@りんご桜さん» ありがとうございます！全員出演予定なのですが、人数が多いので中々難しいんですよね(--;)何とか上手いこと出して行けたら、と思います！ (2020年6月14日 10時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
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