112.離さないで ページ18
項の下の辺りを白く細い指がツゥ、となぞる。それに肩を揺らして反応すれば、大先生は小さく笑った。
「この辺り…項の下の辺りを、牙で少し切って自分のモノって印を着けんねん」
『所有物の証って事？』
「せやね。虫除けって事やな」
人間は番がいると言う印の為に指輪を贈る。つまり印とやらは人狼達にとってのそれと同じということだろう。
「人と人狼の間盃を交わして、その後ココを切って血を飲むんよ……こうやって、な」
『ッ、いた…』
正面から抱きつくように彼は首の後ろにキスを落とした後軽く牙を立てる。予想していなかった痛みに体を震わせれば傷口をペロリと舐められた。
「ん、美味し」
『大先生？』
「ごめんて…美味しそうやったんやもん」
へらりと笑う大先生にため息をついてベンチから立ち上がる。
『…私、戻る』
「んじゃ、僕も行くで」
残っていたコーヒーを飲み干し、缶をゴミ箱に捨てて大先生は左手を差し出した。
「暗いし手ぇ繋いで戻ろ？」
『大先生が繋ぎたいだけでしょ』
「ええやんーお願い？」
『…はぁ』
仕方なく手を繋ぎ歩き出す。空を見上げれば、丁度一筋星が流れた。
『…あ、来た！』
一筋の流れ星は、やがて無数へと変わっていく。
流星群に思わず目を奪われ、手を繋いだまま立ち止まった。
『…綺麗』
幻想的な光景にそう声を漏らす。
「せやね…」
繋がれていた手がゆっくりと指を絡めるように握り直される。
「…なぁ、Aちゃん」
『うん？』
月明かりに照らされた彼の青い瞳が私を見つめる。
「僕らは何があってもAちゃんを守る。やから…離さんといてな？僕らを」
ぎゅっと、まるで「離さないで」とでも言うように握る手に力が込められる。
…離すわけ、無いのに。
『絶対手放さないよ。…これからもよろしくね』
そう微笑めば、彼も笑みを浮かべながら再び歩き出す。その途中の道で見かけた猫を、大先生は頭をひと無でしてから「よろしくな」と小さく呟いた。
『何をお願いしたの？』
「んー…内緒♡」
※※
「…居たぞ。ヤツだ」
「誰かと居るな…1度調べに戻るか」
2人の跡を遠くから尾ける2人組み。
そこへ、1匹の猫が擦り寄ってきた。
「にゃあ」
「ん？猫…？」
男は猫を抱き上げる
「しかし何でこんな所に___」
そこまで言って彼らは気付いた
「…こんばんは。いい夜ですね」
彼らの背後に、大量の猫と日本刀を持った人物をつれたアシンメトリーの青年が立っていたことに。
満月まで、後6日___
.
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黒瀬(プロフ) - 小雨さん» ありがとうございます！この後の展開をどうするかで悩んでかなり遅くなってます。申し訳ありません！ (2020年7月26日 16時) (
レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - まさかniさんが人外やったとは…これからの展開凄く楽しみです！体調を崩さない程度に更新頑張ってください！ (2020年7月26日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 調味料さん» 久しぶりのコメントありがとうございます！出したいなぁ、と思ってたので無事出せて良かったです^^ (2020年6月27日 9時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
調味料 - 久しぶりにコメント失礼しまぁす。^r.a^な人外さんが出ててめっちゃ嬉しかったです、ありがとうございます(土下座)これからも更新頑張ってください〜 (2020年6月25日 21時) (レス) id: 06d5180623 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - わたあめ@りんご桜さん» ありがとうございます！全員出演予定なのですが、人数が多いので中々難しいんですよね(--;)何とか上手いこと出して行けたら、と思います！ (2020年6月14日 10時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
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