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さらりと揺れる黒い髪にあの頃のように擦り寄ってくる小さなA。あぁ、人になってもお前は変わらんな。
「んなに泣いたらカラッカラになるで？」
『うぅ゛〜っ』
「ほら、お水飲もうな。入ってもええか？」
『(こくり)』
小さな背中を押して部屋の中へと入る。猫のベッド、おもちゃが転がっていて、なんだか懐かしい気持ちになった。
「夢で見たのと一緒やな」
『…ゆめ？』
「せや。とりあえずお水飲んで、落ち着いたら話すわ」
通されたリビングでAがこくこくお水を飲むのを確認し、俺は不思議な夢の内容をポツポツ話し始めた。
『…』
「…って感じやねんけど」
『…夢だけど、夢じゃない…』
「唐突なト〇ロ」
ケラケラ笑いながら言えばAは眉を下げて不思議そうに首を傾げた。まぁせやろな。俺やって最初意味わからへんかったし。
まあでもええやろ。こうしてまたAと再会出来たんやし。
「A」
名前を呼べば、見えないはずの尻尾と耳が揺れた気がした。
「おいで」
昔のように手を広げ、そう声を掛ける。
最初はやはり人の姿ということもあって葛藤したらしかったが、やがておずおずやって来て膝の上にちょこんと座った。
あーもう可愛ええなぁホンマ。
「俺な、ずっとAに伝えたかった事あったんよ」
『…ん』
親指で白い頬を撫でながら胸中を口にする。
「Aの事、大好きやで」
『…え』
「伝える間もなく逝ってもうたからな…でも今はここにおって、人の姿やから、もう遠慮せぇへんでええかなって」
いつもなら異性になんて触れる事すら出来ないのに、A相手となれば話は別や。
もう後悔した無い。手離したくない。
『…そ、それ、は…その、人の姿、だから…その』
「都合良く解釈してええで。…むしろしてくれると嬉しいんやけど」
『にゃう…』
そう言えば赤い顔が更に真っ赤に染まっていく。こんな顔も出来るんやな。可愛ええ。
「A」
『ゔー…』
「好きやで」
『…にゃ…』
すり、と鼻と鼻を擦り寄せれば涙で濡れた瞳が俺を見つめる。いじめ過ぎたか？と少し不安に思えば、鼻の頂きをかぷっと軽く噛まれた。
『…わ、私、も…すき…で、す…』
ゔぅ…とぷるぷる震えるAに、愛しさが爆発してギュッと抱きしめた。
『？！！』
「ん、俺も、好き」
『…んにゃあっ』
.
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名無していう名前の名無し - やばいでずぅ。目から涙がどまりばぜん…すぎでず…完璧にドンピシャ来て今も泣いてます←（嫌なコメントであれば消してください） (8月21日 16時) (
レス) @page26 id: cfc3f2d0fe (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 暖かくて優しくて、そのまま微睡んでしまいそうな世界を見れて、とても良かったです。いつかオマケと言う名の小話を見れたら…なんて思いますが、それはまた別のお楽しみとしてとっておきます。黒瀬様の他作品も見てみようと思います(*ˊᵕˋ*) (6月23日 19時) (レス) @page26 id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 琥珀。さん» 長文でもありがとうございます。執筆者冥利に尽きるというものです。人の心に残る作品をかけてとても嬉しいです！こちらこそ、素敵な感想をありがとうございます。励みになります^^ (2022年2月23日 11時) (レス) id: 3a76da62a7 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀。 - 《長文ごめんなさい》これは運命では？と思いながら読んでいましたがやっぱりとても心に残る作品でした。とても良いお話ありがとうございました！ (2022年2月23日 2時) (レス) id: 0b0b8f154b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀。 - もう一度見たいなーって思ったんですけどその頃はまじの初心者で題名も何も覚えてなく諦めていました。ですが今日黒瀬様の作品を見ていると黒猫と赤い人を見つけ『これはもしや！』と思ってみたら僕が探していたものでした (2022年2月23日 2時) (レス) id: 0b0b8f154b (このIDを非表示/違反報告)
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