08. ページ8
戦争が始まった。毎日のように爆音が鼓膜を震わせ怖くてグルさんの足にすり寄る。
『ﾝﾐｬｱ』
「お前も怖いのか？」
『ﾐｬｳ(だっこしてください)』
前脚で脚に乗り上げ鳴けばグルさんは仕方ないなと私を抱き上げた。トントンさんと違う抱き心地で落ち着かないけど、伝わる体温が安心した。
「戦況は？」
「優勢やな。ゾムもトントンもおるし、夕刻には決着つくやろ」
トントンさんとグルさんと仲の良いオスマンさんが紅茶を飲みつつそう言った。
『…ﾐｬｰ(…トントンさん)』
「トントンは今夜帰ってくるだろう。その時まで良い子で待っててくれ」
私の気持ちを察したのか黒手袋をした大きな手が頬を撫でる。
きっと大丈夫。トントンさんは死なないもんね。
『…ﾐｬｯ』
「A？」
外でトントンさんの帰りを待とう。
にゃあ、とひと鳴きして私は総統室から門の方へと歩き出した。
※※
『…？』
渡り廊下をとてとて歩いてた時。ふとひとりの兵士が気になり駆け寄った。
「…」
『…ﾐｬ？(うん？)』
おかしい。今兵士の殆どは外に出払っている筈。なのになぜ一人でこんな誰もいないところにいるんだろう？
『…ﾆｬｰ』
「っ？！なんだ、猫か…」
兵士は私を見るとあっちに行けと手をシッシッと払う。
この城の兵士であればこの反応はおかしい。トントンさんが私が子猫の時皆に紹介し、私のことを知ってるからだ。
『ﾆｬｱ?(あれ？)』
「こら、あっち行けよ…遊んでる暇はねぇんだ」
兵士の手には四角い小さい箱のようなものが。耳をぴくぴく揺らすとカチカチ音が聞こえて、火薬の匂いから爆弾を持っていることがわかった。
精鋭がいない今爆弾がある、つまり
「やらなきゃ…やらなきゃ俺が…っ」
兵士は顔を青くしながらブツブツ何を呟く。
だけど私がそれを傍観してるはずもなく。
『…ﾆｬｯ』
「あ、コラ！」
手を素早く引っ掻き隙ができた一瞬に爆弾を盗んで走り出す。
「返せ！このくそ猫！」
銃を抜いて何発も撃たれる。幸いなことに弾は体を掠るだけで済み、私は必死に足を動かした。
トントンさんがいない今、私が守らなきゃ。
「待て！！！」
待ちませんよーだ。
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ジーナ(プロフ) - 久しぶりに小説で泣かせられました、、、読んでいると、うちの6代目のネコちゃんを思い出します。 (2021年6月2日 13時) (
レス) id: 5d4a55a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
ルクテ(プロフ) - 癒されると思ってたから、突然の展開に感動して大泣きしました(T-T) 黒瀬さんの作品大好きです！続編希望です!! あと、よければ合作とk((ﾅﾝﾃﾞﾓｱﾘﾏｾﾝ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 05a910269c (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - あぁぁ、、、悲しい、、大泣きしそうになっちゃいました、、。いやでも、勇敢な夢主さんですよ、、大切な人を守るために命をかける。きっと、来世は幸せ者でしょうね、、、！！ (2021年6月1日 23時) (レス) id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフグリーン(プロフ) - 泣きたかったけど、勉強中にこっそり見てたので、泣ける暇がありませんでした。感動しました。続編希望です！ (2021年6月1日 19時) (レス) id: cfbc218aad (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うっ…お恥ずかしながら大泣きしました…！もういい話過ぎてっ…！すごい大好きです！！！続編…めっっっちゃ読みたいです！お願いします！ (2021年6月1日 18時) (レス) id: 71bc8f54f4 (このIDを非表示/違反報告)
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