07. ページ7
さあ諸君、戦争をしよう。
この国の総統、グルッペンさんがそう静かに告げた。
トントンさんは猫の私に教えてくれた。資源を独占し私腹を肥やす悪い国を支配下に置き、誰もが自由に暮らせる為の世界を作る、と。
『ﾆｬｱ(私にもお手伝い出来ることありますか)』
「大丈夫、お前はいつも通りでいてええで」
子猫から成猫になった私の頭をトントンさんはいつものように優しく撫でる。だけどゾムさんやコネシマさん、そして他の人はいつもと違い鋭い殺気を纏っている。
こんな中でいつも通りになんて過ごせるはずもなかった。
『…ﾆｬﾝ』
怖くて、不安で、そっとトントンさんの足元に擦り寄る。
「A？」
『…ﾆｬｰ』
「…大丈夫、俺がおるで」
いつものように抱き上げられ鼻と鼻を合わせられる。所謂鼻チューと言うやつで、最初は気恥しかったコレも今では慣れてしまった。
人間だったら唇にして貰えたのかな…なんて、顔に熱が集まるのを感じて首を横に振った。
「？」
『ﾐｬ(なんでもないですっ)』
どうやら私は愛情を注いでもらいすぎて彼の事を好きになっていたようだ。
不安そうにするトントンさんに行ってらっしゃい、とひと鳴きし彼を戦場へと見送った。
※※
いつからだろうか。猫相手やから、と恥ずかしげもなく鼻チューするようになっとった。
「はぁ…」
「トンちどしたん？Aロスか？」
「…そうやなぁ」
俺と同じ黒い毛色の、無邪気にすり寄ってくるあの子を思い出し頬が緩まないようにと咳払いをする。はよ帰って可愛がってやらんとな。
「にしてもトンち相当あの子大切なんやな」
「まぁ、ご主人様やし？」
「マウント取らんでも奪おうとせんよ」
なんてちょける大先生にはよ持ち場つけやと尻を蹴る。大先生らしい緊張の解き方のお陰か、いつまでも慣れない戦争前の緊張は無くなっていた。
「…はよ帰って撫でたるから、待っててな」
帰ったら仕事も何もかも投げ出して可愛がってやらんと。
そう思いながら愛用の剣を手に、俺は前進を始めた。
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ジーナ(プロフ) - 久しぶりに小説で泣かせられました、、、読んでいると、うちの6代目のネコちゃんを思い出します。 (2021年6月2日 13時) (
レス) id: 5d4a55a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
ルクテ(プロフ) - 癒されると思ってたから、突然の展開に感動して大泣きしました(T-T) 黒瀬さんの作品大好きです！続編希望です!! あと、よければ合作とk((ﾅﾝﾃﾞﾓｱﾘﾏｾﾝ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 05a910269c (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - あぁぁ、、、悲しい、、大泣きしそうになっちゃいました、、。いやでも、勇敢な夢主さんですよ、、大切な人を守るために命をかける。きっと、来世は幸せ者でしょうね、、、！！ (2021年6月1日 23時) (レス) id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフグリーン(プロフ) - 泣きたかったけど、勉強中にこっそり見てたので、泣ける暇がありませんでした。感動しました。続編希望です！ (2021年6月1日 19時) (レス) id: cfbc218aad (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うっ…お恥ずかしながら大泣きしました…！もういい話過ぎてっ…！すごい大好きです！！！続編…めっっっちゃ読みたいです！お願いします！ (2021年6月1日 18時) (レス) id: 71bc8f54f4 (このIDを非表示/違反報告)
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