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拾ってもらった日から私は前世と同じ"A"という名前を貰い愛情を沢山注いでもらった。
「A、今日からミルク離れしてみよか」
『ﾐｬｰ』
いつものご飯の時間にミルクの入った器ではなく魚肉をミンチにしたものをお皿に乗せてやってきたご主人のトントンさん。
『ｺﾞﾛｺﾞﾛ…』
「ホンマ可愛ええなぁお前」
『ﾐｬｳ(貴方にだけですよ)』
撫でられる手を受けいれ喉を鳴らせば嬉しそうに笑うトントンさん。大好きな手に擦り寄れば彼もまた嬉しそうにはにかむ。なんてことの無いこの時間が私は大好きだった。
「ほい、少しでもええから食べてみよか」
『…ﾐｨ』
「少しでもええから…ほら、あーん」
スプーンで掬って口元に差し出すトントンさん。最初は日本と違う国の生魚なんて大丈夫なのか、とも思ったけど今の私は猫だ。
思いきってぱくりと口にすれば特に問題なく、前の世界で食べていたお刺身のように脂の乗った旨みが口に拡がった。
『…！』
「ふはっ 目がキラッキラしとるで」
『ﾐｬ､ﾝﾐｬｯ』
「はいはい、ゆっくり食べるんやで」
私が喜んでいると分かるとトントンさんはしょうがないなと笑いながら魚のミンチを口に運んでくれた。
トントンさんの笑顔、好きだな。
『…ﾐｬｰ』
ありがとう。大好きです。
そう意味を込めながら頭を手に押し付ければ「甘えたさんやな」なんて微笑まれた。
貴方にだけですよ？
※※
「お、Aやん。元気かー？」
『ﾐｬー(ええ、シャオロンさん)』
城の中を散歩していればトントンさんのお仲間のシャオロンさんが私を見つけて駆け寄ってくる。大きな彼を見上げて鳴けば彼は「そうかー」と頬を緩めて頭を撫でる。
「めっちゃ可愛ええ…癒される…」
『ﾐｬ』
彼は私を抱き上げ頬擦りを一通り堪能し「よっしゃ残りの仕事片付けてくるわ！」と私を降ろして仕事へと戻っていった。
『(よかった、ちゃんと役目果たせてるみたい)』
癒し役を上手く果たせてよかった、と胸を撫で下ろすと同時に昼の陽射しに眠くなり、私は書記長室へと向かうのだった。
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