03. ページ3
ふと目が覚めぼんやりする目で虚空を見つめる。
白くて高い天井。
…私、死んだのかな。
「お、目が覚めたか？」
『…？』
声がした方を向けば、黒髪のメガネの男の人が私を覗き込む。…私、助かったの？
『…ﾋﾟｨ』
「ほーかほーか。怖かったなぁ狼に襲われて」
大きな指が頬を優しく撫でる。誰かに撫でられたのなんて久しぶりで、私はそれを目を細めて受け入れた。
『…ﾋﾟｬｱ(気持ちいい)』
「あー…可愛ええなぁ…」
もっと撫でて、と顔を寄せれば蕩けた顔をしてなでなでする彼。
動物好きなのかこの人。すごい嬉しそうな顔をしてる。
「トントンーミルク貰ってきて…って、おっ 目が覚めたん？」
お兄さんに撫でられていると部屋に緑のパーカーの人が入ってきた。その手には小さなお皿にミルクが入っていた。
「さっき起きたんよ。人慣れしとるんか撫でたら擦り寄ってきたで」
「ええやん可愛ええやん。俺も撫でてええ？」
「優しくしたりや？」
お皿を置いた緑のパーカーのお兄さんがそっと手を伸ばす。
だけどさっき襲われた狼の匂いが微かにして、さっき殺されかけた恐怖を思い出し私は鳴き叫んで箱から逃げようともがき出した。
「へ？あ？」
「そっか、イフリートの匂いか！」
やだ、痛くしないで
殺さないで
不意に前の世界での痛みや恐怖がフラッシュバックする。
『ﾋﾟｬ、ｳｯ(や、だっ)』
"なんでこんなガキ産んだんだよ"
"私だって産みたくて産んだわけじゃないわよ"
再婚し邪魔だと毛嫌いされ殴られ続けた日々と、父親になった人と血の繋がった母親に言われた昔の記憶を思い出す。
あぁ、やっぱり私なんて
誰にも愛されな________
「…大丈夫やから、落ち着きや」
『…ﾋﾟｬｱ…』
大きな手が私の体を包み、頭を優しく撫でる。
「びっくりしてもうたんよな？大丈夫やから、落ち着きや」
上を見上げれば黒髪のお兄さんが優しく語り掛けひたすら頭と背中を優しく撫でてくれる。
落ち着く手だ。じんわり温かく、それでいて優しい。
『…ｸﾞﾙｸﾞﾙ』
「お、喉鳴らしとる」
「ン゛ッ…もう大丈夫やからな、ええこええこ」
お兄さんに抱き上げられ、私は暫く彼の手を受けいれ喉を鳴らした。
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ジーナ(プロフ) - 久しぶりに小説で泣かせられました、、、読んでいると、うちの6代目のネコちゃんを思い出します。 (2021年6月2日 13時) (
レス) id: 5d4a55a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
ルクテ(プロフ) - 癒されると思ってたから、突然の展開に感動して大泣きしました(T-T) 黒瀬さんの作品大好きです！続編希望です!! あと、よければ合作とk((ﾅﾝﾃﾞﾓｱﾘﾏｾﾝ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 05a910269c (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - あぁぁ、、、悲しい、、大泣きしそうになっちゃいました、、。いやでも、勇敢な夢主さんですよ、、大切な人を守るために命をかける。きっと、来世は幸せ者でしょうね、、、！！ (2021年6月1日 23時) (レス) id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフグリーン(プロフ) - 泣きたかったけど、勉強中にこっそり見てたので、泣ける暇がありませんでした。感動しました。続編希望です！ (2021年6月1日 19時) (レス) id: cfbc218aad (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うっ…お恥ずかしながら大泣きしました…！もういい話過ぎてっ…！すごい大好きです！！！続編…めっっっちゃ読みたいです！お願いします！ (2021年6月1日 18時) (レス) id: 71bc8f54f4 (このIDを非表示/違反報告)
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