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「トントンさん、A知りませんか」
「…いや、知らんけど」
ふと先程の自分を思い出し嘘を咄嗟についた。だけどそれを知らないショッピ君は凄い焦った様子で。
「どしたん？夜飯になったら帰ってくるやろきっと」
「…城のどこにも居ないんです」
「…は……？」
窓の外では先程までの快晴が嘘のように変わり、激しい雨と雷が鳴り響いていた。
※※
激しい雨が体の毛を濡らしていく。足は爪が折れて出血もしている。その上放置して出てきたから血の跡が点々と残っていた。
『…ﾆｬ(はぁ)』
どうしよう。足はもう痛くて歩きたくないしぐっしょり濡れたこの体では何処にも行けないだろう。
懐かしい。小学生の頃、母親の機嫌を損ねた日以来だ。こんな思いするの。
『…』
全てを諦め近くにあった根元に大きな窪みのある木に避難する。避難した所で体が冷えてるので意味は無いのだが。
『ﾆｬｱ(愛されたい人生だった)』
猫だけど。なんて自虐を一つ零し、私は目を閉じた。
※※
「____！__ッ！」
耳が何かを捉えぴくりと揺れる。少し寝ていたのだろうか、さっきより体は重くとても熱い。それでもずっとここにいる訳にはいかなくて。
『ﾐｰ(行くかぁ)』
猫でも数日歩けば他国に行けるだろう。そう思って歩き出したのだが、目の前の草むらが揺れて今一番会いたくない人が姿を見せた。
「おった！A！」
『(ﾋﾞｸｯ)』
そこには息を切らたトントンさんが。
怒鳴られ叩かれた事がフラッシュバックし耳が下がり尻尾がぶわっと膨れあがる。また叩かれるのだろうか。
「こんなとこに居って…寒かったやろ？はよ帰ろうな」
『ﾝﾅｫ』
「あ、オイ！」
それは嫌だと全力で逃げ出す。だけど泥で足が滑ったのと足の痛みで上手く走れずダイブしてしまう。
「わぉ…派手にやったなぁ」
『(どうしよう、また怒鳴られる)』
もうあんな思い嫌なのに。
目元を濡らしふるふる震えていると、温かい腕に包まれた。
「さっきはごめんな。Aに怒鳴ったって意味無いんに…」
『…ﾅｧﾝ(はい)』
大好きな大きな手に頭を撫でられる。ずぶ濡れの彼を見て探し回ってくれたんだと察し、大人しく抱き上げられた。
「やっぱダメや。Aおらんと落ち着かんわ」
『…』
大きな手が目元を優しく拭う。
「ホンマにごめんな」
嘘じゃない本心の言葉。
それにもう少しだけ信じてみようと思い、二人で城へと戻るのだった。
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ジーナ(プロフ) - 久しぶりに小説で泣かせられました、、、読んでいると、うちの6代目のネコちゃんを思い出します。 (2021年6月2日 13時) (
レス) id: 5d4a55a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
ルクテ(プロフ) - 癒されると思ってたから、突然の展開に感動して大泣きしました(T-T) 黒瀬さんの作品大好きです！続編希望です!! あと、よければ合作とk((ﾅﾝﾃﾞﾓｱﾘﾏｾﾝ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 05a910269c (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - あぁぁ、、、悲しい、、大泣きしそうになっちゃいました、、。いやでも、勇敢な夢主さんですよ、、大切な人を守るために命をかける。きっと、来世は幸せ者でしょうね、、、！！ (2021年6月1日 23時) (レス) id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフグリーン(プロフ) - 泣きたかったけど、勉強中にこっそり見てたので、泣ける暇がありませんでした。感動しました。続編希望です！ (2021年6月1日 19時) (レス) id: cfbc218aad (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うっ…お恥ずかしながら大泣きしました…！もういい話過ぎてっ…！すごい大好きです！！！続編…めっっっちゃ読みたいです！お願いします！ (2021年6月1日 18時) (レス) id: 71bc8f54f4 (このIDを非表示/違反報告)
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