おまけ1. ページ15
※おまけは時系列バラバラです。
※夏のある日のお話。
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夏だと言うのに雨が降り、その上今日の気温は低いらしい。
少し冷える廊下をとことこ歩いた私はとある部屋の前で立ち止まった。
『ﾆｬｵｰﾝ(トントンさーん)』
「ん？あぁ、Aか」
グルさんに用があったらしいトントンさんを追いかけて総統室の扉をカリカリと掻く。少しすれば扉は開き、「おいで」と優しい笑みと共に腕を広げられた。
『ﾆｬｰﾝ(はーいっ)』
「どしたん寂しかったんか？」
『ﾅｧﾝ(違いますよう)』
言葉は通じないので「そうかそうか」と勘違いしながらも、嬉しそうなトントンさん。喉を鳴らして擦り寄れば撫でてくれる優しい彼に私は猫としてメロメロになっていた。
「随分懐かれたな」
「せやろ？いやぁもう嬉しすぎてデレッデレやわ」
「親バカだな」
苦笑するグルさんにトントンさんは「じゃあまた後で書類貰いに来るわ」と言って私を着ていたコートの中に入れ、下から抱き上げるようにして歩き出した。
まるでカンガルーみたいだ。
『ﾝﾐｬ､ﾆｬｰﾝ(ぬくぬくしますね)』
「温かいやろ？」
『ﾝﾅｧ(はいっ)』
撫でられる手と服越しに伝わる体温が心地よくて目を閉じふすふすと鼻を鳴らす。そんな私を見てトントンさんはまた顔を弛めて笑った。
「…俺は軍人やけど、お前を残して逝ったりせぇへんからな」
『？』
「やからずっとここにおってな。ずーっと可愛がったるから、な？」
『…ﾆｬｰ(はい)』
そうだ、トントンさんは軍人だ。
もしもの時が無いとは限らないんだ。
「俺が絶対守ったる。やから離れんようにな？」
『ﾆｬ!(はいっ！)』
肯定するように鳴けば「理解出来たんか？賢いなぁ」なんて親バカっぷりを発揮するトントンさん。
私も私に出来ることがあったらやらなきゃ。
そう胸に誓い、コートから抜け出して隣をちょこちょこ歩き出すのだった。
「お、一緒に歩くか？」
『ﾆｬｰ』
「っし、行こか」
いつかお別れするその日まで。
一緒に居てくださいね。
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温かいコメントありがとうございます。
多分続編書くと思います。お楽しみに。
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ジーナ(プロフ) - 久しぶりに小説で泣かせられました、、、読んでいると、うちの6代目のネコちゃんを思い出します。 (2021年6月2日 13時) (
レス) id: 5d4a55a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
ルクテ(プロフ) - 癒されると思ってたから、突然の展開に感動して大泣きしました(T-T) 黒瀬さんの作品大好きです！続編希望です!! あと、よければ合作とk((ﾅﾝﾃﾞﾓｱﾘﾏｾﾝ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 05a910269c (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - あぁぁ、、、悲しい、、大泣きしそうになっちゃいました、、。いやでも、勇敢な夢主さんですよ、、大切な人を守るために命をかける。きっと、来世は幸せ者でしょうね、、、！！ (2021年6月1日 23時) (レス) id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフグリーン(プロフ) - 泣きたかったけど、勉強中にこっそり見てたので、泣ける暇がありませんでした。感動しました。続編希望です！ (2021年6月1日 19時) (レス) id: cfbc218aad (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うっ…お恥ずかしながら大泣きしました…！もういい話過ぎてっ…！すごい大好きです！！！続編…めっっっちゃ読みたいです！お願いします！ (2021年6月1日 18時) (レス) id: 71bc8f54f4 (このIDを非表示/違反報告)
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