エピローグ…？ ページ13
鳥のさえずりと目覚ましの音に次第に意識が覚醒する。頬が濡れているのに違和感を感じ触れてみれば、どうやら私は寝てる間に涙を流していたらしい。
『…起きよ』
もそもそと朝にそんなに強くないのに起き上がる。何だかとても懐かしい夢を見た気がする。
でも内容は思い出せない。モヤモヤするなコレ…
『…今日休みじゃん』
携帯画面をつければ土曜日の文字がディスプレイに映し出される。そうだ、仕事で疲れすぎて昨日帰ってきてご飯とお風呂も済ませないで寝ちゃったんだった。
とりあえずコンビニで何か買ってこよう。そう思い白のシャツに黒いパーカー、カーキ色のズボンとクロックスという格好で家から五分のコンビニへと向かった。
※※
『…ん？』
コンビニからの帰り道。何となく来た時とは別ルートで帰ろうとすれば、何やらカラスがダンボールに向かって吠えてる姿が目に入った。
ダンボール中にいる何かを狙ってる…？
『…コラ！あっち、行けっ！』
嫌な予感がして、思わず手にしていた袋を振り回しカラスを追い払った。
ダンボールに居るのは大体捨てられた動物だ。果たして無事なのだろうか。
『キミ、大丈…夫…』
「…にゃあ」
ダンボールを覗き込めば、そこには珍しい赤目の子猫が無傷で私を見上げていた。
『…よかったぁ』
「？」
運良く怪我が無かったようで一安心。
だけどこのまま放置していればまたあのカラスに襲われるだろう。
『…お金ならあるし、癒しが欲しかったしいっか』
「みゃう？」
小さな体を抱き上げそっと撫でる。人馴れしてるのかな、喉をゴロゴロ鳴らして擦り寄ってきた。
『うちにおいで。猫ちゃん』
「…みゃー」
猫用ベッドとかご飯とか、猫に詳しい後輩くんに教えてもらうか。そんな事を考えながら子猫を腕に抱き歩き始める。
そういえば名前はどうしよう。
『…お名前どうしよっか？』
「？」
こてん、と首を傾げる小さな子猫。
名前…うーん…
ふとこの子が入っていたダンボールに目をやる。冷凍食品のトンカツのダンボールで、豚さんが描かれていた。
豚…トン…
『…』
「み？」
『…トントン、とか』
「！」
夢で聞いた事がある名前を口にする。
どうやらトントンという名前が気に入ったらしい。尻尾がゆらゆら揺れ始めた。
『よし、君の名前はトントンだ。よろしくね、トントン』
初めて出会ったはずの子猫は
「…みゃあっ」
その名前に目を細めて喜んでいるように見えた。
あとがき→
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 497人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジーナ(プロフ) - 久しぶりに小説で泣かせられました、、、読んでいると、うちの6代目のネコちゃんを思い出します。 (2021年6月2日 13時) (
レス) id: 5d4a55a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
ルクテ(プロフ) - 癒されると思ってたから、突然の展開に感動して大泣きしました(T-T) 黒瀬さんの作品大好きです！続編希望です!! あと、よければ合作とk((ﾅﾝﾃﾞﾓｱﾘﾏｾﾝ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 05a910269c (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - あぁぁ、、、悲しい、、大泣きしそうになっちゃいました、、。いやでも、勇敢な夢主さんですよ、、大切な人を守るために命をかける。きっと、来世は幸せ者でしょうね、、、！！ (2021年6月1日 23時) (レス) id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフグリーン(プロフ) - 泣きたかったけど、勉強中にこっそり見てたので、泣ける暇がありませんでした。感動しました。続編希望です！ (2021年6月1日 19時) (レス) id: cfbc218aad (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うっ…お恥ずかしながら大泣きしました…！もういい話過ぎてっ…！すごい大好きです！！！続編…めっっっちゃ読みたいです！お願いします！ (2021年6月1日 18時) (レス) id: 71bc8f54f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
